BeMARKEが語る
BtoB事業を展開する企業においても、MA(マーケティングオートメーション)の導入が進んでいます。一方で、どんなことができるのか、活用の前提条件はあるのか、といった具体的な運用イメージは想像がしにくいのが現実です。本記事では、MAでできることを端的に確認した上で、MAの潜在能力を最大限に活用し成果を出すための条件について解説します。
MAでできることを端的に言うと、見込み客の育成と選別の効率化です。しかしこれだけではあまりに抽象的過ぎますね。もう少しだけ詳しく解説すると、以下のようになります。
見込み顧客のWeb上での行動をもとに、優先的にフォローすべき顧客を見極め、顧客フォローの一部を自動化したりできるツール。
どんなWebコンテンツ(記事や資料)を見ているか計測し、計測した値が特定の条件に当てはまった時にのみ、顧客対応を自動化したり、アラート通知を出したりします。例えば以前打ち合わせをしたものの本格検討に至らなかったが、半年ぶりに価格ページを何度も訪問している顧客がいた場合に、自動で製品資料の案内メールを送付したり、営業担当者に通知を出したりします。
MAが先に述べた価値を発揮できるのは、Cookie(クッキー)の存在があるからです。MAが導入されているWebサイトにユーザーが訪問した場合、そのユーザーのブラウザにCookieが付与されます。CookieはWebサイトに訪問してくれたことを示すIDや履歴情報のようなものと考えてください。2回目以降の訪問時には、MA側がこのCookieの存在を確認し、以前訪問したことのあるユーザーと同じ人物だと判定します。
Cookieを持ったユーザーがフォームを通過した時に入力された名前や連絡先が、Cookieと紐づき本当の意味での個人の特定がなされるしくみです。IDのみだった訪問者の認識が、初めて「○○会社のAさん」といった個人として認識できるようになります。
このようなWeb上での見込み客の行動を記録でき、フォローを一部自動化できる価値を持つMAは、顧客育成にとても有効になるツールです。 せっかく顧客になりうるような名刺情報を保有しているにもかかわらず、顧客フォローの優先順位をうまくつけられない、顧客フォローの方法がわからないといった理由で営業機会を逃している場合に価値があります。
※より詳しいMAの活用法については、MAは営業の友達!顧客フォローの優先順位をつけるMAの活用法 をご覧ください。
顧客フォローに活用できるMAですが、実際に成果を出すためには条件があります。ここからは以下の4つの条件を解説します。
MAでは、見込み客のWeb上の行動データが活用の起点です。「誰が何を見ているか」の「誰が」に相当する部分の情報です。BeMARKEでは、最低でも1000件以上、理想は5000件以上の見込み客リストの保有をMA導入の前提としてご説明しています。
5000件と言われるととても多い数に感じるかもしれません。しかし、過去の展示会で獲得した名刺や、社内の誰かが挨拶で交換した名刺を集めると予想以上の数になることが多いと言われます。全社員に名刺提出を依頼するのは気が引けるかもしれませんが、一度声をかけてみると良いです。
一方で、新規見込み客の獲得へ投資をする予定がある場合は、現在の保有リード数をそこまで気にする必要はないと言えます。「誰が何を見ているか」の「誰が」に相当する部分の情報を、これから獲得できるからです。
こちらも、その1と同様に見込み客のWeb上の行動データを計測するために必要です。「誰が何を見ているか」の「何を」に相当する部分の情報です。Webコンテンツとは、メルマガ・サービス紹介ページ・導入事例・お役立ち記事・資料等を指します。
Webコンテンツの制作となると難しい、専門業者に依頼しないといけないと感じるかもしれません。読みやすい、見栄えの良いコンテンツを一定価格と時間で制作してくれるので、専門業者に依頼するのは有効な手段です。一方でMA導入という大規模投資に加え、追加で外部の専門家に発注するのは難しい企業もいるでしょう。
始めやすいのは、普段営業に活用している資料を再編集する方法です。最も簡単なのはサービス資料や製品カタログの掲載です。また提案書の内容を一般化したり、区切ったりして掲載する方法も有効です。営業担当者の協力が必要ですが、営業担当者がお客様に説明している内容を、テーマごとに区切ってブログ記事として紹介するやり方も良いでしょう。
1つ注意したいのがメルマガの送付です。メルマガの送付は最も手軽に始めやすいコンテンツマーケティングです。一方で、メルマガの送付のみではお客様の興味関心度合いを測るのは難しいです。受信者側の立場を想像してみると理解しやすいですが、他社から送られたメルマガを開封したからといってその会社や製品に興味がある訳ではないでしょう。できればメルマガとセットで、記事やサービスページの拡充をしていくと良いです。
優先的にフォローすべき顧客を見極めるために、検討度合が高い、自社に合う顧客の条件を定め、MAに登録する必要があります。この条件を登録しない限り、「Automation」の機能を活用することはできません。
このような条件は言い換えればターゲットとカスタマージャーニーの設定と認識できます。どのような顧客(業種業界、企業規模や職種)のどのような行動ならば優先的にフォローすべきといえるのか、検討度合いが高いと言えるのか等の情報です。
ターゲットとカスタマージャーニーは、普段顧客に直接関わる機会が少ないマーケティング担当者にとって作成が難しいかもしれません。一方で営業担当者の中では優先的にフォローする顧客について一定の基準があるはずです。そういった情報をうまく聞き出し、共通認識を持てる成果物を作ると良いです。
マーケティング担当者が始めやすい、ターゲットとカスタマージャーニーの作成方法をいくつかご紹介します。
※さらなるカスタマージャーニーの理解については、BtoBにおけるカスタマージャーニーマップとは?テンプレートに沿って作り方を解説を参考にしてください。
見込み客のWeb上での行動が、予め登録した特定の条件に当てはまった時に、顧客フォローの一部を自動で対応してくれるのがMAです。ただし自動で対応してくれる内容はメールの送信やWebサイトの表示を一部変更するといった程度になります。
実際の運用では特定の条件に当てはまった際に営業担当者宛てに通知が届き、電話でのフォローは営業担当者自身が人力で行う方法が一般的です。よってMAを最大限使いこなすためには、営業担当者の協力が不可欠です。
ただしMAの機能や価値について、営業担当者に納得してもらい、使い方に慣れてもらえるよう協力を依頼するのはハードルが高い方もいらっしゃるでしょう。BeMARKEでは、営業担当者にとってMAがどのような価値をもたらすのかまとめた記事があります。ぜひ以下の記事を参考にしてください。
MAは営業の友達!顧客フォローの優先順位をつけるMAの活用法
MAでできることの概要と成果を出すための条件について説明しました。MAの有効活用には見込み客の数やWebコンテンツの数、顧客理解が重要です。また、マーケティング活動を自動化できるのは一部分のみであり、結局は顧客をフォローできる営業担当者の協力も必要になるとお伝えしました。
MAはお試しで導入するには高価なツールです。十分な活用条件を整えてから導入すると社内の多くの人の満足度が高まるでしょう。