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属人化の意味は?属人化に陥る原因から解消法まで徹底解説

属人化の意味は?属人化に陥る原因から解消法まで徹底解説

近年、属人化という言葉をよく耳にするようになりました。一般的にネガティブな意味で使われることが多い言葉ですが、どのような問題があるのでしょうか。正しい意味を理解していないという方もいるでしょう。本記事では、属人化の意味や原因、デメリットのほか、解消する方法を解説します。正しい意味と使い方を理解して、属人化の少ないスムーズな労働環境を目指しましょう。

目次

1.属人化の意味とは?

属人化とは、ある業務において特定の人だけが業務の進め方や進行状況を把握している状態のことを意味します。担当者以外からは業務の内容や状況が見えないだけでなく、担当者が欠勤したときにその業務自体の遂行ができなくなってしまう危険性があります。

病気や休暇で担当者が不在のため連絡が取れない、あるいは十分な引き継ぎがないまま退職してしまった場合は問題が浮き彫りになります。また、属人化した状態でトラブルが発生し、担当者がミスの発覚を恐れて抱え込めば、周りに気づかれにくくトラブルへの対応が遅れ、状況が悪化する恐れがあります。

属人化しやすい業務形態の特徴として、人的リソースに余裕がなく最少人数で業務に取り組んでいる場合が挙げられます。属人化した状態が進むと社外に影響がおよぶケースもあるため、問題意識を持って改善に取り組む必要があるでしょう。

2.属人化する原因

属人化する主な原因として、以下の3つが考えられます。

  • マニュアルが整備されていない
  • 地位を守りたい従業員がいる
  • 業務の専門性が高い

マニュアルが整備されていない

マニュアルが整備されていないと、業務の引き継ぎが円滑に行われないため属人化につながります。マニュアルが存在しても最新の業務内容が反映されていない場合はここに含みます。

通常の業務に追われてマニュアルを作る時間がない、という方は多いでしょう。しかし、マニュアルがないと次の担当者には口頭で引き継ぎを行うことになります。その結果、引き継ぎを受けた人しか業務の詳細や進め方が分からない、属人化した状態が発生します。

マニュアルがあれば誰が見ても同じ情報を得られ、担当者の不在時にも問題の対処法が分かり、滞りなく業務を進められます。

地位を守りたい従業員がいる

地位を守りたい従業員がいると、知識や経験が共有されないため属人化につながります。「この分野は○○さんに聞けば分かる」「この業務は社内では○○さんが専門家」といった状況を作ることで、社内で自分の地位を守りたい従業員が少なからずいます。

近年、企業側が従業員を評価する際、個人の能力ではなく成果を評価対象とするケースが増えました。個人成果主義では、ある業務における経験や知識の多さが基準の1つとして評価に反映されます。属人化している業務に対応できる従業員が増えれば、相対的に自分の評価が下がると考え、積極的に知識や経験を共有しない従業員が出てくるケースがあるでしょう。

また、業務を独占することをモチベーションにしている従業員もいます。高いモチベーションで業務に取り組むことは重要ですが、そのために周りに迷惑がかかる可能性があれば、問題を解消すべきです。

さらに、これまで取り組んできた進め方や、ミスについて指摘されるのを担当者が嫌がるケースもあります。自分が取り組んできた方法を指摘されることで、自分の地位が損なわれたと感じる場合も少なくないでしょう。

このように、社内での自分の地位を守るために情報共有をしない結果、属人化が進みます。

業務の専門性が高い

特定のスキルやノウハウ、資格が必要な専門性の高い業務は、他の従業員では対応できないため属人化につながります。

上記のような場合、人数が増えれば誰でも対応できるという業務ではないケースが多いでしょう。マニュアルではカバーできない高度で専門的な判断を必要とする場面も発生します。

複数人でワークシェアをして業務を習得させようとしても、あてがう人的リソースにとぼしい場合は属人化が加速します。専門的で高度な判断は短期間で覚えられるものではなく、人材、資金、時間のすべてが必要です。日常の業務が忙しい中、短期的な成果を求められる現代の経済社会では、専門業務の属人化が起こりやすいといえるでしょう。

3.属人化によるデメリット 

属人化の影響は個人やチームだけでなく社外におよぶ場合があります。属人化によって発生する可能性があるデメリットとして以下の2つが挙げられます。

  • 業務効率の低下
  • 業務の質が安定しない

業務効率の低下

属人化を放置すると、業務効率の低下を引き起こします。担当者が長期の休職中や退職後に連絡が取れない場合、業務の仕方や状況を把握できないため、過去のファイルを見返したり関係者に確認を取ったり、余計な手間がかかり業務効率の低下につながります。

また、特定の従業員に業務が偏ることで、関係者のみが長時間残業しなければならない状態となります。さらに休みを取りづらい雰囲気が生まれたり、他の従業員にストレスが伝わったりして、全体的なパフォーマンスの低下にもつながりかねません。

業務の質が安定しない

担当者以外が成果物の完成度や数量などを正確に把握していない状態になりやすく、担当者の退職後に成果物の品質がバラつく可能性があります。

担当者以外が適切な情報を把握していないと、従来の質や納品スピードを実現できず、クライアントからの信用を失うことにつながりかねません。

4.属人化を解消する方法  

属人化が進めばさまざまなデメリットが発生しますが、解消する方法はあるのでしょうか。ここからは、属人化の解消方法を3つの事例とともに詳説します。

  • マニュアルの整備
  • 権限の分散
  • ツールの導入

マニュアルの整備

属人化を防ぐため、業務を可視化してマニュアルを作成しましょう。属人化の原因として、業務を口頭で引き継ぐことが挙げられます。マニュアルを作成して業務を可視化することで、担当者と急に連絡が取れなくなって手順や状況が分からなくなっても、別の担当者が同じ品質を担保できます。

文章だけで伝えることが難しければ、チャートや図、写真などを積極的に使用して、視覚的に分かりやすい資料を作る必要があります。業務を行う手順や注意点など、可能な限り詳細に書き記すことが重要です。細かな注意点が書いてあるほど、誰が見ても滞りなく業務に取り組めます。

また、実際に業務を進める中で問題点や改善点を見つけたら、その度に追記や修正を行ってアップデートしてください。マニュアルと業務内容が合っているか、定期的に見直して常に改善を心がけることが大切です。

権限の分散

業務についての権限や責任が特定の従業員に集中している場合、他の担当者がミスやトラブルを発見しても意見できず、より重大な問題に発展しかねません。このケースでは、仕事の権限や責任を分散させることで、誰かと連絡が取れなくても他の従業員がカバーできるようになり、属人化を解消できます。

権限や責任が特定の従業員に集中すれば、不正の原因にもなりえます。権限や責任を分散することは、業務に透明性を与えるだけでなく、信用度を高めることにもつながります。

また、権限の分散は、ワークシェアの点から見ても有効です。担当している業務を他の従業員がカバーできれば、急な休みや長期不在時も安心です。

ツールの導入

業務を可視化するためツールの導入も属人化の防止・解消につながります。近年では、コロナ禍で浸透したリモートワークをサポートするため、ナレッジマネジメントツールやビジネスチャットなどさまざまなツールが開発されています。情報や知見の共有が目的のため、ファイルのアップロードや保管が簡単に行えます。

資料を個々のパソコンではなく、クラウド上に保存して社内で情報共有することも有効です。アクセス権を持つ人はファイルを閲覧・編集できます。パソコン以外の端末からもアクセスできるため、移動中にスマートフォンから資料を確認することも可能になり、業務効率化を図れます。

ツール導入のもう1つのメリットは、コミュニケーションの円滑化です。チャット機能を使えばメールよりも気軽にやり取りができるため、「ファイルのアクセス権をください」や「○○の資料は△△フォルダに保管しています」など、コミュニケーションが自然と生まれます。コミュニケーションが活性化すれば、業務内容に関する会話も自然と増えるため、属人化の解消に役立ちます。

5.まとめ

今回は属人化について、意味、原因、デメリットや解消方法を紹介しました。日々の業務が忙しく、対策が後回しになりがちですが、属人化した業務は放っておけば生産性の低下や売上の減少など大きな問題につながりかねません。解消方法にも、今すぐに取り組めるものと時間がかかるものがあります。優先順位を決めて、早い段階で属人化の解消に取り組み、より良い労働環境を整えましょう。


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BeMARKE編集部
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