基本ノウハウ
サイトリニューアル時やサイトの運用体制を見直す際に、導入を検討したい「CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)」。CMSとは、サイトのコンテンツを構成するテキストや画像などを一元的に管理するシステムです。CMS導入にあたっては、事前に具体的な導入メリットや費用などを押さえておく必要があります。そこで本記事では、CMS導入のメリットやCMSの種類別の導入費用目安・導入手順などを解説していきます。
最初に、CMSを導入する4つのメリットを整理しておきましょう。
通常、サイト制作にはプログラミングの知識が欠かせません。一方で、CMSを使うことで、HTML/CSSやJavaScriptなどに関する専門的な知識や経験がない人でも、直感的な操作でサイト制作ができるようになります。CMSでは表やテキスト、画像などを簡単に挿入できるほか、もし簡単なHTML/CSSの知識がある場合には、広告や入力フォームなども設置が可能です。
CMSを使えば、各種情報の更新を自社内で完結できます。したがって、「このページを〇〇のように更新してください」と外部業者に依頼する手間や時間、コストがかからず、更新のタイムラグもありません。依頼の手間をかけずに、スピーディーな情報更新ができるようになる点は、CMSを導入する大きなメリットでしょう。
CMSの中にはサイト制作だけでなく、下記のようなマーケティングに活用できる機能を搭載しているものもあります。
<CMSのマーケティング機能例>
例えば、アクセス解析機能を用いて「どのページのコンテンツの改善が必要か」を分析し、スピーディーに自社内で情報を更新することで、効率的なマーケティングを実施することもできるでしょう。
CMSでは、メンバーごとに異なる権限を付与できます。例えば、「コンテンツの編集のみできるメンバー」と「コンテンツの投稿・編集・公開ができるメンバー」というように、役割に応じて権限を分けることが可能です。そのため、「権限のない他部署の人間が誤って操作してしまった」といったミスを減らせます。加えて更新履歴を確認できる機能もあるため、万が一更新ミスが起こってしまった場合には、更新履歴を取得することでどの時点のどのデータからやり直せば良いのか、すぐに判断できます。
さまざまなメリットがあるCMSですが、CMSを導入し、サイトを構築するにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。ここではCMS導入・サイト構築費用の目安を確認しましょう。
オープンソース型CMS自体は無料で利用できます。ただ実際に自社でオープンソース型CMSを導入して制作したサイトを公開・運用するとなると、最低限「サーバー代」と「独自ドメインの取得代」が必要です。ただそれらの費用を合わせても、中小規模のサイトであれば、月額数千円程度でサイト運用はできるでしょう。ただし、CMSで有料のプラグイン(拡張機能)やテーマを導入する場合には、別途費用が発生します。なお、外部業者にオープンソース型CMSを用いたサイト構築を依頼する場合には、30万円程度~の費用がかかるでしょう。
クラウド型CMSを導入し、サイト構築を行う場合の費用目安は、月額1万円程度~です。ただし、クラウド型CMSの導入費用は幅が広く、月額利用料0円のサービスから月額数十万円のサービスもあります。参考までに3種類のクラウド型CMSの費用をまとめてみました。
クラウド型CMSの月額料金はプランによっても異なるため、気になる方は問い合わせをしてみましょう。
商用パッケージ型CMSを導入し、サイト構築をする際の費用目安は50万円~+サーバー代・独自ドメインの取得代などです。オープンソース型CMSやクラウド型CMSと比較すると費用はかかりますが、提供元であるベンダーのサポートや保守を受けられる点がメリットです。
自社専用のCMSをつくるために、ゼロベースで外部業者にCMSの構築を依頼する場合、サイト規模によって費用目安は異なります。
ページデザインやコーディングなどに加え、システム開発費用が必要になるため、コストは高くなります。また、サーバー代や機能追加にともなう費用なども別途発生します。
続いて、CMSの導入・構築方法を確認していきます。
オープンソース型CMSの導入・構築手順は以下の通りです。
上記の手順について、例えば世界で最も人気のオープンソース型CMS「WordPress(ワードプレス)」では、多くの情報が発信されています。とくに初心者は、利用者が多く、たくさんの情報が発信されているCMSを選ぶのもポイントです。
クラウド型CMSは、インターネット経由でCMSの機能を利用できるCMSです。そのため、クラウド型CMSのサービスに登録をすれば、すぐにCMSを導入できます。
<例:クラウド型CMS「Wix(ウィックス)」導入手順>
参考:Wix公式ブログ「Wix の使い方を徹底解説: ホームページ作成手順 14 ステップ」より
商用パッケージ型CMSの導入・構築手順は、ベンダーによって異なります。例えば、株式会社シフトが提供する商用パッケージ型CMS「SiTEMANAGE(サイトマネージ)」の手順は以下の通りです。
<例:商用パッケージ型CMS「SiTEMANAGE(サイトマネージ)」 導入手順>
参考:商用CMS決定版パッケージSiTEMANAGE「CMS導入で変わる!具体的な導入方法とサイトの運用効果を上げる秘策をご紹介」より
なお、商用パッケージ型CMSの導入までには、数カ月~8カ月程度かかると見ておきましょう。
最後に、3種類のCMSの導入事例を見ていきましょう。
ソフトウェア業界の某上場企業は、オープンソース型CMSの「WordPress(ワードプレス)」でCMSを構築し、BtoB向けオフィシャルサイトをリニューアルしました。WordPress(ワードプレス)の導入により、これまで専門知識を持つ担当者だけがサイト更新をしていた体制から、社内チーム全員が更新できる体制へと大きな転換を成功させました。サイトには製品情報に絞り込み検索機能を搭載し、UIも変更。その結果、ユーザーの検索性が向上しました。
参考:インスパイアデザイン「WordPress解決事例」より
株式会社知識経営研究所は、クラウド型CMS「LeadGrid(リードグリッド)」を導入し、コーポレートサイトのリニューアルを実施しました。リニューアル実施の背景には、民間企業向けの案件が増加し、サイトのデザイン性向上やコンテンツ拡充の必要性が出てきたことが挙げられます。同社は、リニューアル後のサイトについて、「何をしている会社なのかが一目で分かるようになり、採用応募数増加にも寄与していると感じる」「これまでは新コンテンツの追加時には外部に依頼していたが、現在はすぐに新コンテンツを公開できるようになった」といった趣旨のコメントをしています。
参考:LeadGrid「導入インタビュー 株式会社知識経営研究所」より
【商用パッケージ型CMS導入事例】株式会社ジーフット
ASBeeやGreenboxなどの靴販売店を展開する株式会社ジーフットは、コーポレートサイトやASBeeのブランドサイトなどに商用パッケージ型CMS「HeartCore(ハートコア)」を利用しています。同社は、730超の店舗情報の管理をするデータベースとしても使えるシステムを探した結果、同CMSに行きつき、導入を決定しました。HeartCoreの標準機能を店舗一覧や店舗検索で活用しています。そのほか、同CMSの導入により、店舗リストのメンテナンスも楽になり、担当者の負担が軽減される効果がありました。
参考:HeartCore「お客様事例 株式会社ジーフット 様」より
CMSを導入することで、専門知識不要でサイトを制作できたり、情報更新時の手間や時間がかからなくなったりと、さまざまなメリットがあります。一方で、CMSの種類によって費用や導入手順は異なるため、どの種類のCMSが自社に合っているのか、よく検討することが大切です。
本記事で紹介した導入事例3社は、いずれもCMS導入の効果を感じています。まずはCMS導入により自社にどのようなメリットがあるのか、ベンダーに相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。