基本ノウハウ

予実管理とは?Excelを使うべき?必要性やおすすめツールを解説

予実管理とは?Excelを使うべき?必要性やおすすめツールを解説

予実管理を活用することで、実際の数値に即した堅実な目標を立てて、計画的に経営を進めることができるというメリットがあります。この記事では、予実管理の概要や、目的、具体的な進め方、おすすめのツールなどについて解説します。ぜひ企業経営の参考にしてください。

目次

1.予実管理とは

予実管理とは、企業があらかじめ設定した予算と、実行した結果である実績を比較・検討することによって課題を見える化し、解決策を見いだす手法です。

予算と実績の差分が明らかになることで、順調に予算に即した経営ができているのか、あるいは軌道修正をした方が良いのかが明確になります。また、次の予算を立てる際に、実績に即した値を設定できます。堅実に企業経営を行う上で、欠かせない手法の1つであるといえるでしょう。

2.予実管理の目的とは

予実管理の目的は大きく下記の2つに分けられます。

  • 課題を発見し解決策を打ち出す
  • 計画的に経営をコントロールする

課題を発見し解決策を打ち出す

予実管理の1つめの目的は、課題の発見と対処です。予実管理によって経営目標に向けての進捗が明らかになれば、想定していた進捗状況でない場合にその課題を発見し、的確な軌道修正につなげられます。

例えば、ある部署が予算を超過して赤字の状態になっている場合に、予実管理を通して詳細(内訳)を見ることで、単に売上が低迷しているのか、あるいはコスト面で課題があるのかが認識できます。データの分析によって部署が抱える課題を明らかにし、具体的な解決方法を打ち出せるのです。

計画的に経営をコントロールする

予実管理の2つめの目的は、経営のコントロールです。予実管理を行い蓄積したデータは、中・長期的な経営計画を策定する際に必要な材料となり、具体的な経営目標を立てる上でも活用されます。

また、金融機関から事業の運転資金や設備資金などを借りるケースにおいても予実管理は重要です。金融機関は「貸出先の企業は返済できる見込みがあるか」「事業に計画性があるか」を判断するために、企業に対して事業計画書の提出を求める場合があります。その際記入する「売上・利益目標」は実績にもとづいた目標が望ましく、その根拠として予実管理で蓄積したデータが役立ちます。返済の見込みを持って着実に経営を行うためにも、計画的な見通しを立てられる予実管理が必要だといえるでしょう。

3.予実管理の進め方

予実管理は具体的にどう進めていくのか、ここでは下記の4ステップを解説します。

  • 【STEP1】予算の目標を立てる
  • 【STEP2】1カ月ごとに決算をする
  • 【STEP3】予算と実績の差異を分析する
  • 【STEP4】課題を把握し対策を考える

【STEP1】予算の目標を立てる

予実管理を行う上で、まず行うべきは会社全体での予算目標の設定です。その上で、各部門や事業ごとの目標を決めます。

予算の具体例としては、売上や売上原価、販管費、営業外損益などが挙げられます。販管費は商品を販売したり管理したりする際にかかる経費で、営業外損益は名前の通り企業の営業活動以外によって発生した損益(資産の売却損益や支払利息など)です。

各項目は、過去の実績をもとに立てます。その際「過去の実績そのまま」ではなく、今後予定している売上や費用を織り込むことがポイントです。開業を予定している場合は当然実績はないため、実現可能かどうかをよく吟味した上で、売上の見込み額などをもとに1年間の予算を立てます。

年間の予算を立てたら、それを12カ月で配分します。その際、賞与や採用などによる人件費の変動や、時期による売上の変化も考慮しましょう。

【STEP2】1カ月ごとに決算をする

予算と実績はひと月ごとに比較・検討をしましょう。できるだけ短いスパンで検討を行うことで、経営課題に対する素早い対応が可能になり、軌道修正が比較的容易になります。加えて、確認する期間が短いほどより詳細な分析ができるメリットがあります。

なお、月次の決算は、年度決算のように法人税の申告や帳簿での決算処理の必要はなく、1カ月の売上・仕入れ、諸費用が明らかであれば問題ありません。減価償却費など1年分まとめて費用を計上する項目に関しては、月ごとに配分する必要があるため注意しましょう。

【STEP3】予算と実績の差異を分析する

実績がまとまったら、予算と比較し、差異を分析します。STEP1で立てた予算項目(売上、売上原価、販管費、営業外損益)ごとに実績と比較しましょう。比較の結果、大きな差があれば原因の分析や対策を考える必要があります。この場合、原因が一時的なものなのか、あるいは今後も影響が及ぶような長期的なものなのかの見極めがポイントです。

なお、比較の過程で細かい差異の分析にとらわれ、手段が目的化してしまうケースがあります。予実管理の目的はあくまで改善のための対策を講じることです。目的を忘れないように注意しましょう。

【STEP4】課題を把握し対策を考える

予算と実績の差異が見つかったら、原因を分析し、課題を把握した上で対策を立てます。対策はすばやい実行が大切です。実行を先送りするうちに、経営が悪化して後戻りできない事態に陥る可能性があります。

ただし、リソースには限りがあるため一度にすべてのタスクをこなすのは困難です。まずは対策を実行に移す優先順位をつけて、優先度の高いものから行動に移します。実行結果は必ず振り返り、さらに改善した対策を実施するといった具合にすばやくPDCAサイクルを回し解決を試みましょう。

4.おすすめのツールとメリット・デメリット

予実管理は、集計した実績や予算との差異を見える化し、データとして残していくことが大切です。その際活用できるツールについて、メリット・デメリットを交えて紹介します。

Excel

Excelは予実管理のために設計されたソフトウェアではありませんが、自由度が高いため自社の予算や組織に合わせた管理表を作成できる利点があります。Excelで予実管理を行う場合は、商品単位や部門単位の予算を立てた損益計算書の形になっていることが大切です。

メリット

一般的な業務で使用されているため多くの従業員に馴染みがあり、自由度が高く、導入コストを抑えられるメリットがあります。1つの商品の予実管理表など、比較的小規模なスケールを扱う場合に向いています。スタートアップや個人事業主の方にとって適したツールといえるでしょう。

デメリット

複数人で予実管理表を使用する場合は、他のユーザーにリアルタイムで共有しづらいデメリットがあります。クラウド型のツールではないため最新のデータを間違いなく管理するのが難しく、クラウド上でデータの管理・共有ができる「Googleドライブ」などのオンラインストレージの導入や、「Microsoft365」のサブスクリプション契約を行う必要があります。

また、手作業が基本となるため、データ入力(集計)に手間がかかる点も注意が必要です。複数人が手作業でファイルの入力や管理を行うと、操作ミスで関数を崩してしまうトラブルも考えられます。こうしたヒューマンエラーが起きやすい点もデメリットといえるでしょう。

Googleスプレッドシート

Googleが提供するWebベースの表計算ソフト「Googleスプレッドシート」も予実管理に利用できます。

メリット

Web上のアプリケーションのため無料で導入できる点がメリットです。Excel同様の操作感で使用でき、自社の予算や体制に合わせた予実管理表を作成できる柔軟性も魅力です。また、Excelと異なり複数人で同時に入力・編集作業が簡単に行えます。編集・閲覧権限を設定した上で、社外のメンバーとも資料を共有できます。

デメリット

Excel同様、基本的には手作業での関数の設定やデータの入力となるためその分の手間が発生します。また、作成・操作のための知識が必要で、複雑な設定の場合だと作成者本人以外は修正ができない場合もあるため注意が必要です。

SFA/CRM

最も予実管理に適したツールといえるのは、SFA/CRMなどの営業支援システムです。代表的な製品には、下記のようなものが挙げられます。

  • Sales Cloud
  • eセールスマネージャーRemix
  • Sales Hub

関連記事:SFAとは?CRMとの違いや現場に定着させるためのコツを紹介

メリット

関数の設定や分析などをExcelのように手動で行う必要がなく、一度情報を入力するだけで関連するすべての項目に情報が反映されるため予実管理の工数を減らせる点がメリットです。データをグラフとして可視化できる機能を備えているサービスもあり、分析に役立ちます。また、基本的な操作やデータの集計に専門的な知識を必要としないため、属人化のリスクも避けられます。

デメリット

ExcelやGoogleスプレッドシートと比較して、導入コストや毎月の利用料金がかかる点がデメリットです。また、失敗事例とも言い換えられますが、「この機能があったら便利」という安易な思いで実際には使用頻度の高くないオプション機能を採用したために、かえって操作が煩雑になり工数がかさんでしまう場合があります。事業の特性や企業規模にあった適切なサービス・機能を選ぶことが大切です。

5.まとめ

予実管理は、予算と実績を比較し、課題を見つけ対策を講じるだけにとどまりません。何よりも、優先順位を設定した上でその対策を実行に移しすばやくPDCAサイクルを回すことが大切です。その繰り返しを経て、精度の高い予算設定・事業目標の設定ができるようになります。ぜひ、SFA/CRMなどの各種ツールもうまく活用して、目標達成の確率を高めていきましょう。


この記事に関連するお役立ち資料

この記事を書いた人

BeMARKE編集部
BeMARKE編集部

BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。

SNS:XYouTube

著者の最新記事

もっと読む >

あわせて読みたい