インタビュー

顧客起点の意思決定で「価値が正しく届く戦略」が可能に。今、注目されるABMツールの必要性と【FORCAS】の優位性

顧客起点の意思決定で「価値が正しく届く戦略」が可能に。今、注目されるABMツールの必要性と【FORCAS】の優位性

近年、BtoBのマーケティング手法として注目が高まっている「ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)」。マーケティングプロセスにおける、ターゲット企業(アカウント)の抽出精度を高めることで、売上の最大化を目指します。

株式会社ユーザベースはBtoB事業向け顧客戦略プラットフォーム「FORCAS」を展開。国内トップクラスの150万社以上の企業データベースから、導入企業にとってポテンシャルの高いターゲットを抽出し、戦略的にアプローチするための支援を行っています。

今回、FORCAS事業 Sales Division SMBチームリーダーの畑佐拓哉氏に、FORCASの優位性とともに、専門家の立場でABMのメリットと必要性について伺いました。長年、SFAとMAの営業に従事してきた畑佐氏が考える、ABMが注目されている理由や背景、効果的に活用するためのポイントとは。

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目次

近年ABMが注目されている理由と企業が抱える課題感

畑佐拓哉氏(FORCAS 事業 Sales Division SMB Team リーダー)

日本のBtoBマーケティングのフィールドでは、ABMはまだ十分に浸透しておらず、従来型のLBM(リードベースドマーケティング)……つまり、見込み客(リード)をベースにしたマーケティング手法を継続している企業が多い印象です。「リードは伸びているのに売上が伸びない」という課題を抱えているにもかかわらず、その原因が分からないままに「さらにリード獲得数を増やす」という施策を取り続けている企業がとても多いのです。

しかし、リードを消費し続けるだけでは、やがてマーケターや営業の疲弊を招きます。効率良く成果を出すために、顧客戦略をしっかりと練らなければいけません。このことからも「戦略を立てる上で、ABMの必要性を感じている企業が増加している」ということが感じられます。

今、営業戦略の効率化のためにCRM/SFAを導入している企業が増えています。しかしツールのシステムだけでは、「ターゲットの明確化」や「コンテンツ策定」は難しく、「現在の施策のまま進む」のか「方向転換する」かの判断にも、上級のマーケティング手法が必要となります。この部分をカバーするのがABMツールです。ターゲット企業を絞り込み、最適なアプローチ方法で売上の最大化を目指すことが可能となるのです。

ひとりマーケター・ひとり営業企画にとっての「仮説立証」にも有効

社内に相談相手がいない「ひとりマーケター」、もしくは「ひとり営業企画」にとっても、ABMは「仮説の正しさを確かめることができるツール」として有効です。

マーケティングを一人で担っている方の多くが「現在の施策を継続して良いのかどうか」という悩みを抱えています。一方で、周囲からは「何をやっているのだろう?」と理解されず、疎外された存在に。しかしABMを実践すれば、ターゲット企業に関するすべての仮説が、定量的な数字で結果に跳ね返ってくるため「今やっている施策の改善点はどこか」「次のステップとしてどのような戦略を立てるべきか」が明らかになり、単独でも効果的にPDCAを回すことができます。仮説検証が進めば、結果的に社内に「同じターゲットを向いて会話できる仲間」が増えることも期待できるでしょう。

「狙うべきターゲット」を明確化することで、再現性のあるマーケティング活動が可能に

FORCASの機能.01顧客分析|BeMARKE(ビーマーケ)

私たちは、「サービスの成長速度を高めたい企業」や「新規営業開拓に力を入れている企業」に向けて、ターゲット企業の抽出と、特定の企業の課題に対してのアプローチ方法の策定を支援しています。

FORCASにおいて、企業データ分析の要となるのが、150万社の企業データベースです。信頼性の高い企業情報データを持つパートナーと連携し、売上・従業員数・決算月などの企業属性データを基に戦略を練ります。

さらに、より正確な業界区分を策定するため、証券会社出身者を中心に専門的な知見を持つアナリストチームが日本標準産業分類を独自に分析します。売上データについても「どのような経緯があって現在の数値に至ったのか」という「企業の課題感」を示すシナリオデータを基に、企業が持つ過去の受注傾向を紐解いていくのです。

「狙うべき顧客」を明確にすることが、再現性の低いマーケティング活動から脱却するためのキーポイントになります。カスタマーサクセスチームが伴走し、「顧客」を中心に据えたマーケティング戦略を実行しています。

「who」「what」「how」のフレームワークで戦略を立てる

FORCASのカスタマーサクセスチームでは、導入したお客様に3カ月間伴走させていただきます。カスタマーサクセスからの支援で重きを置いているのが、「ABMのマーケティング戦略における考え方」をしっかりとお伝えすること。

ターゲットは適切か、ターゲットに響くコンテンツが提供できているか、アプローチ方法は最適か。これらのフレームワークを基にした考え方が根付かなければ、効果も期待できず、「ABMはうちの会社には合わない」という短絡的思考に陥りかねません。お客様が抱える課題に対して、「who:誰に」「what:何を」「how:どのように」という3つのフレームワークを土台にした、原因追求と戦略策定を大切にしています。

画像:「who」「what」「how」のフレームワークで戦略を立てる|BeMARKE(ビーマーケ)

「顧客起点での意思決定」が事業成長を早める鍵

これまでのマーケティングでは、受注率や商談数など、「売れやすい顧客」と「売れにくい顧客」の平均値を見て戦略を立てる傾向にありました。しかし、ABMを活用することで、「どこにアプローチすべきか」が明確になり、リードカバレッジを見ながらリード獲得の意思決定ができるようになります。【下図参照】

画像:顧客視点の意思決定とは?|BeMARKE(ビーマーケ)

以前、「リードは伸びているけれども、売上が目標に満たない」という課題を持って相談に来られたお客様のデータを、FORCASで分析したところ、「最も受注率が高いセグメントに対して、約90%のリードを保有していた」ということが明らかになった事例がありました。

つまり、優良顧客となりえるターゲット層のほとんどを開拓し尽くしているにもかかわらず、それに気がつかず、リード数だけ伸ばし続けて受注率が低下してしまうという実態だったのです。こちらのお客様は、事実を把握できたことで、残り10%のホワイトリストへピンポイントにアウトバウンドすることが可能に。さらにハウスリストのナーチャリングに方針をガラリと切り替えることができました。

今回ご紹介した事例のように、お客様が抱える具体的な課題や悩みに対し、顧客セグメントごとにデータを可視化して、戦略に落とし込む「顧客起点での意思決定」こそが、ABMにおいて事業成長を早める要素と言えます。

カスタマーサクセスチームでは、ABMを活用したマーケティングの「考え方」をお伝えするとともに、お客様ならではの情報と思想をキャッチアップし、発展へとつなげます。

効果的な運用のために各部門間で共通意識を持つこと

「ABMツールを導入した=売上が急増する」ということではありません。どのようなツールにも言えることですが、新しい取り組みを行う上で、「各部門でコンセンサスが取れていること」は不可欠です。「ターゲティング戦略を実行する」という共通意識を持ち、実績を積み上げていくことで、再現性のある仕組みが整い、売上の安定性が図れるようになります。

うまくいかなかった場合も、「次の再現性につなげるチャンス」だととらえて、「who」「what」「how」の考え方で原因追求ができれば、ターゲティング戦略は軌道に乗るでしょう。良い運用ができてくると、「ターゲット」の概念がマーケターと営業の双方に定着し、日々のレポートや資料に「ターゲット」というワードが頻繁に登場するようになるはずです。

CRM /SFA、MAと連携し、効果を引き出す仕組みづくりを目指す

今、FORCASが注力しているのは、CRM/SFAやMAとの連携強化です。「ツールを導入してみたが、十分に使いこなせていない」という悩みを抱えるお客様も多く見られます。企業のマスタデータを充実させ、ABMを実践することが、CRM/SFA、MAの力を最大限に引き出し、効率的に活用することにもつながります。

FORCASを導入した企業の担当者様も、成果を出した結果、昇進される方が多いです。FORCASによる支援を通して、上級マーケティングの手法と考え方を身につけることで、課題をクリアにし「マーケティングっておもしろいね」と、社内でも注目度を上げるきっかけとなれたらうれしいですね。

「マーケティングを共創させる未来」を見つめて

FORCASは2017年、「未来のマーケティングを共創する」というコンセプトの下、顧客戦略プラットフォームとして誕生しました。未来のマーケティングとは、「そのサービスを必要としている人に、ムラなく届く世界」のこと。“共創”には「開発者である私たちと、ユーザーである企業様とが一緒になって、日本のBtoBマーケティングを発展させていきたい」という思いを込めています。

同時に、コミュニティマーケティングも大事にしていきたいと考えています。お客様とカスタマーサクセスの関係に閉じず、お客様同士で発信することもマーケティングの深化のためには必要です。ユーザーのお客様に当社主催のセミナーに登壇してもらったり、お客様同志でミートアップしていただき情報交換してもらうなど、情報発信と交流の機会創出にも積極的に取り組んでまいります。

今後のシステム開発には、マーケティングの分野に留まらず、お客様のニーズや課題点を鑑みて、システム開発の方向性を変化させることも必要となるでしょう。ターゲット企業を見定め、そこに対して「価値が届く機能とは」と、顧客起点で逆算をして開発していくことができたら、開発当初に掲げた未来のマーケティングの世界へと近づけると考えています。

※情報は2022年10月18日取材時点

まとめ

  • ABMでターゲット企業を絞り込み、最適なアプローチ方法で売上の最大化を目指すことが可能になる。
  • ABMはひとりマーケター・営業担当にも有用なツール。仮説検証が実践でき、単独でも効果的にPDCAを回すことができる。
  • 150万社以上の企業データベース、証券会社出身者を中心に専門的な知見を持つアナリストチームが、「顧客」を中心にした再現性のあるマーケティング戦略の推進を支援する。
  • FORCASとCRM/SFA、MAなどのツール連携を強化し、効果を引き出す仕組みづくりを目指す。

BeMARKE編集部の注目ポイント

Webセミナーやオンライン展示会、ダウンロード資料など、BtoBマーケティングにおいてWebでのリード獲得を気軽に行える機会が増えています。
また営業体制の分業化により、マーケターと営業担当者の役割が分かれ、マーケターは獲得した新規リードの数が評価指標とされることも多いです。
その「リード数」という結果を追いかけるあまり、自社のターゲットや理想の顧客像が、マーケターの頭から抜け落ちてしまうことや、マーケター自身も見込み顧客にとっても疲弊が発生してしまうリスクがあります。
FORCASは、自社の商談や受注という確固たるデータに基づき顧客像を定義できるため、ターゲットやマッチする顧客の姿を見失っていると感じる企業にとって、解決策の1つとなるでしょう。

【取材・執筆:佐藤有香、株式会社YOSCA、編集:BeMARKE編集部】

■FORCASについて

BeMARKE編集部より

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