インタビュー

BtoB企業がSEOに失敗する原因は?ナイル青木氏に聞く、はじめてでも失敗しないSEOの進め方

BtoB企業がSEOに失敗する原因は?ナイル青木氏に聞く、はじめてでも失敗しないSEOの進め方

SEOを成果につなげられない、SEOの効果的な進め方が分からないというBtoB企業のマーケターやWeb担当者は少なくありません。BtoB企業がSEOを成果につなげられない原因とは何なのか。

今回、「10倍はかどるSEOの進め方」を出版されたナイル株式会社 青木創平氏に、BtoB企業がSEOで成果を出すために知っておきたい、よくある失敗の原因と対策について詳しいお話を伺いました。

  • 青木 創平(あおき・そうへい) ナイル株式会社 DX&マーケティング事業 マーケティングユニット マーケター/インサイドセールス

    ナイル株式会社 DX&マーケティング事業 マーケティングユニット マーケター/インサイドセールス

    青木 創平(あおき・そうへい)

    Webコンサルタントとして大規模ECサイトから、BtoBサービスサイト等を経験。100ページを超えるSEOガイドライン執筆など技術的SEOへの造詣が深い。現在は社内マーケターとして、自社サイト運営を軸に、広告運用、メールマーケティング、ウェビナー企画・運営、YouTube出演、インサイドセールス業務など広く実施する。 著書「10倍はかどるSEOの進め方」「SEO初心者が知っておきたいGoogle機能の基礎知識」
    https://www.seohacks.net/

目次

ある日突然SEO担当者になった方に向けて情報を届けたい

ーー出版された書籍「10倍はかどるSEOの進め方」は、どのような読者へ向けて執筆されたのでしょうか。

ある日突然SEOを担当することになった方や、少人数体制で試行錯誤しているWeb担当者に読んでいただきたいと思って執筆しました。

本書ではSEO施策を進める上で必要な知識を体系的にまとめて紹介しながら、よくある悩みや課題を取り上げ、実践的な手法や考え方をお伝えしています。

世のなかにあふれるSEOの情報は、順位を上げるためのノウハウやGoogleのコアアップデートに関する最新情報などが多いですよね。しかし、これからSEOをはじめる方向けの基本情報や、マーケターになったばかりの方が参考にしたいと思うような書籍は少ない。

そのため本書では、そういう方の悩みを解決し実務に役立てていただけるような内容を目指しました。

ナイル株式会社 DX&マーケティング事業 マーケティングユニット マーケター/インサイドセールス 青木創平氏
ナイル株式会社 DX&マーケティング事業 マーケティングユニット マーケター/インサイドセールス 青木創平氏

ーーこれからSEOをはじめたいという読者は、どのような課題を抱えているのでしょうか。

どこからSEO施策を進めれば良いか分からないという方が多い印象です。知識や経験、リソースが不足している、または社内でSEO施策の優先度が低いというケースもよく見聞きします。

そんな課題を持つ方に、SEO施策をどのように進めると成果につながるのかを伝えることを意識しながら執筆しました。

BtoB企業にとってSEO対策をしないという選択肢はない

ーーそもそもBtoB企業にとってSEOは必要なんでしょうか。

必要だと思います。もちろん自社のビジネスモデルから施策の優先順位付けを行った上で実施するのが大前提です。例えばリード獲得施策として、SEO、展示会への出展、共催ウェビナーやカンファレンスへの登壇という選択肢があるとします。そのなかでSEOの費用対効果が高いのであれば優先的に実施すべきでしょう。

最低限、ユーザーが「企業名」を検索したときに、必要な情報にたどり着けるように設計することは重要です。企業名や製品・サービスなどを検索したときに求めているものが表示されないのは、ユーザーにとってかなりのストレスです。検索結果に表示されたとしても、ページ内に求める情報がないことも問題です。意外と、これらの対策ができていない企業様はまだまだ多い印象です。

機会損失を防ぐためにも、企業情報に関する最低限のSEOは必須でしょう。そういう意味でも、BtoB企業にとってSEO対策をしないという選択肢はないと思いますね。

BtoB企業がSEOに失敗してしまう原因3つ

ーーSEOに取り組むものの成果につながらないというBtoB企業も少なくありません。BtoB企業がSEOに失敗してしまう原因はどのようなものが考えられますか。

【原因1】SEOに対する社内の理解度が低い

1つ目は、SEOに対する社内の理解度が低いことです。

BtoB企業のマーケティングをご支援するなかで、SEOに対する社内の理解がなくSEO担当者が苦戦するというケースをよく見ます。社内メンバーが「SEOは、簡単に集客できる」という漠然としたイメージのまま、短期的な成果を求めたり、施策について毎回説明を求めたりすると担当者は大変です。社内の理解がないことで、施策実行のスピードまで落ちてしまうんですね。

Webサイトの運用からインサイドセールス・フィールドセールスとの連携など、SEOが関わる領域はとても広いものです。全員がSEOマスターになる必要はありませんが、SEO施策ではどのようなことをどれくらい行う必要があるかという最低限の理解がないと、推進するのは難しいと思います。

【対策】SEOの大変さとメリットをあわせて説明する

対策としては、社内関係者のSEOに対する理解度をチェックしつつ、コミュニケーションを取りながら理解を促すのがおすすめです。

例えば、あるキーワードで検索した画面を見せながら、1位に表示されているWebサイトを分析してみるのも効果的です。具体事例とともにコンテンツの量や質について解説することで「SEOは大変そうだ」という印象を持ってもらうんですね。

また、集客にあたって広告出稿と比較するとコストが低いというメリットを示しつつ、簡単ではないが取り組むべき施策であることを伝えるのが良いと思います。

“昔の知識”が足を引っ張ることも

ーーSEOを取り巻く環境は日々アップデートされていることから、“昔の知識”が足を引っ張ることもありそうですね。

そうですね。数年前の知識や経験から「SEOのテクニックを使えばすぐに検索順位は上がる」といわれる場合もありますが、現在はテクニック論だけでは結果を出せなくなっています

現在の検索エンジンは、検索キーワードの文字情報だけではなくユーザーが何を求めているのかという「意味」まで理解できるようになっています。

例えば「SEO」というキーワードで検索する人は、SEOを学びたい初心者から具体施策を知りたいSEO担当者、知識と経験豊富なSEOのプロまで、レベル感やニーズはさまざまです。そのなかで最適な情報を検索結果の上位に表示させるのは、これまで以上に難易度が上がっており、「徹底的にユーザーがどのような情報を必要としているのか」を考える必要があるのです

SEOは常に、最新情報をキャッチアップしながら施策内容を最適化させていく必要があるため、過去の知識や経験に頼りすぎないほうが良いですね。

そうしたSEOを取り巻く環境についても、すべてではなくとも少しずつ具体的に説明し理解してもらう必要があります。

ナイル株式会社 DX&マーケティング事業 マーケティングユニット マーケター/インサイドセールス 青木創平氏

【原因2】目的から逆算できていない

次にBtoB企業が陥りがちなのが、集客が目的化しコンバージョンが発生しないということです。これは目的から逆算できていないことが原因です。

受注や売り上げを伸ばすために集客を増やしていきたい、そのためにSEOを行う、という順番があるはずです。売上から逆算し、受注や商談につながる企業様はどのような業界・規模なのか、どうしたらリード獲得できるのか、という流れでSEO施策を設計すべきです。

目的から逆算せずに「とりあえず集客」という取り組み方では失敗してしまいます

【対策】営業と連携し、目標を定めた上でSEO施策を設計する

セールスと連携しながら、受注につながるのはどのような企業か逆算し集客を考えると、SEOを成果につなげやすいでしょう。

ーー営業経験がないSEO担当者は、受注につながる企業のイメージがつきにくいのではないでしょうか。

そうですね。私も営業経験がなくお客様のイメージを持ちにくかったため、営業担当者に率直に聞いていました。営業担当者にどのようなお客様と話を進めやすいのか、優先度高くアプローチしているのはどのような企業か聞きながら、自分でも仮説を立ててSEO戦略を立てるということをしていましたね。まずは営業担当者と目線をそろえることから、はじめてみると良いと思います

また、商談同席などによってお客様と直接話す機会をつくるのもおすすめです。SEO担当者はお客様と接する機会が少ないため、顧客理解を深めるためにも、営業担当者に積極的に働きかけ自ら機会をつくると良いと思います。

机の前で悩むより、現場に行き、集めた情報を元に仮説を立て、SEO施策にどのように落とし込むか考えるほうが成果につながりやすいでしょう。

【原因3】ページにCTAがない

3つ目は、ページにCTAがないことです。

資料ダウンロードやお問い合わせなど、ユーザーにアクションをとってもらうためのボタンを、ページに設置していないケースをよく見ます。CTAがなければ集客しただけになってしまいます。

【対策】Webサイト上でCVが発生するように設計する

Webサイト運用において、最初に対策すべきなのはバケツの穴をふさぐことです。集客できてもCV(コンバージョン)が発生しないWebサイトであれば、SEOを成果につなげるのは難しい。

まずはページにCTAボタンを設置するなど、Webサイト上でコンバージョンが発生する設計にすることが重要です。

BtoB企業における効果的なSEOのKPI設定とは

ーーSEO施策におけるKPI設定に悩むという声もよく聞きます。KPIをどのように設定しプロジェクトを進め、検証するのか、どのようにお考えですか。

KPIの設定は、施策のフェーズによって異なると考えています。

例えばSEOをはじめたばかりの時点で、1,000件のリードを獲得するという目標は無理ですよね。その場合は、新しく公開する記事数やセッション数をKPIとして設定するのが良いでしょう。

リード獲得数や問い合わせ数という最終的な目標を達成するために、現段階で達成すべき指標を設定できると良いと思います。

上層への伝え方としても、リード獲得数はすぐには増やせないけれどもその目標に向け、今は記事数を増やす必要があり、達成後には次の目標に向けて行動します、といったようにステップを明確に説明できると理解を得られやすいと思います。

内製か外注か、見極めのポイント

ーーKPIを設定しSEO施策を推進するにあたり、どのような体制で進めるか悩む方も多いと思います。内製か、外注か、またその役割分担について、どのように進めるのが良いでしょうか。

KPIを設定し目的から逆算した上で施策に落とし込めているのであれば、内製もしくは外部のサポートいただける方と進めるのがおすすめです。

施策実行よりも、施策に落とし込むまでの作業のほうが難易度が高いため、そこまで社内で進められる場合は社内制作体制もつくりやすいと思います。

目標設定できたものの具体的な施策が進まないという場合は、外部のコンサルタントに入ってもらうのもひとつの方法です

私の経験を振り返っても、何をすべきか分からず迷う時間はもったいない。無駄な時間を削減するためにもコンサルタントに依頼することを検討してみても良いと思います。

生成AIの進化によりSEOはどう変わるのか

ーーコンテンツ制作において生成AIをどのように活用するか、気になっている方も多いと思います。生成AIの台頭によってSEOはどのように変わるとお考えですか。

大きく2つの点で変化が起きると思っています。

1つ目は、検索結果が変わるということです。SGE(Search Generative Experience)の登場によって、検索結果の冒頭にクエリに対する要約が掲載されるなど、既に変化が起きています。検索ニーズに対する回答の最適化はさらに進化していくのではないでしょうか。

2つ目は、生成AIを活用することでコンテンツがつくりやすくなるということです。

SEOは基本的にコンテンツありきの施策であるため、生成AIを活用しない手はないと思います。テキスト情報のないサービスサイトは今のところ考えられないですよね。うまく分担することでやりたいことを実現しやすくなると思っています。

ナイル株式会社 DX&マーケティング事業 マーケティングユニット マーケター/インサイドセールス 青木創平氏

ーーリスクや懸念はありますか。

検索結果が変わることでクリック率が下がるリスクがあります

検索結果の1位を取ってもクリック率の低下によって、想定よりも集客やコンバージョンが発生しないということが起きかねません。

ただそれによってWebサイトの運用者がSEO対策(正確には検索エンジンフレンドリーなサイト構築)をやめてしまい、最終的に検索結果が不便になってしまうということは、Googleも検索する人たちも望んでいないため、そこまで極端な変化は起きないのではないかと思っています。

コンテンツ制作のすべてを生成AIで行うのはまだ難しい

ーーコンテンツ制作においてはどのような活用が考えられますか。

生成AIを使ってコンテンツをつくろうと考える方は多いと思います。ただ、すべての工程を生成AIで行うのはまだ難しいと感じています。アイデア出しや文章のたたき台など、部分的に活用するのが良いのではないでしょうか。

例えばWebサイトにある1ページのテキストを自分でパッとつくった後に、生成AIを使ってブラッシュアップし完成させるという使い方もあります。生成AIに文章をつくらせてから自分で調整していくという方法でも良いですね。

おすすめの使い方は、記事に掲載する「具体例」のアイデア出しに生成AIを使うことです。自分でアイデアをいくつも出すのが難しい場合はとても便利だと思います。

生成AIを“味方”にしながら独自の価値を高めていく

またコンテンツ制作の一部を生成AIで効率化しながら、独自性や専門性を高める作業を人が担当するという使い方も有効だと思います。

生成AIがまだ学習していない部分こそ、コンテンツの新しさや独自の価値創出につながるため、生成AIを“味方”にしながら価値を高める作業に注力するとより良いコンテンツをつくれるでしょう。

生成AIの活用範囲を見極めるためにも、まずは使ってみる、使ってダメだったら使いこなしている人に聞いてみる、というのが大切です。

ユーザーの課題を考えることに関して、SEOに勝る経験はない

ーー最後に、これからSEOに注力していこうと思っているBtoB企業のマーケターさんに向けてメッセージをお願いします。

SEOは対応範囲が広く、環境も日々アップデートしているなか、成果を出すことはとても大変だと思います。しかしマーケターにとってユーザーのニーズや課題、行動を考えるということに関しては、SEOに勝る経験はないと思っています。

SEOの一環として、顧客理解を深めたりディレクション業務を担当したりすることで、マーケティングスキルも向上します。

私もSEOを担当するなかで、BtoBマーケティングのあらゆる領域に目を向けられるようになりました。SEOで成果を出すために試行錯誤するうちに「マーケティングのすべての施策を自分でできるようになれば良いのでは」と思うようになったんですね。

これからもBtoBマーケティングの施策を知っているだけではなく、自分で手を動かしさらに“手札”を増やしていきたいと考えています。

ーーありがとうございました!

【聞き手】山下航希

「10倍はかどるSEOの進め方」技術評論社 青木 創平(著)

「10倍はかどるSEOの進め方」技術評論社 青木 創平(著)

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この記事を書いた人

鈴木 舞
鈴木 舞 | BeMARKE編集長

BeMARKE編集長。これまで15年以上Webメディア運営・コンテンツ制作に携わる。前職では美容系Webメディア編集長としてサイト規模を2年で28倍の2,800万PVに成長させる。2022年より現職。BeMARKEのコンテンツ編集・制作方針や計画の策定、取材・執筆などを担当。

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