インタビュー
DXを推進するものの、実は目的を明確化できていない、ITツールを導入後に活用できていない、という企業も少なくないでしょう。本来の意味でDXを推進するために必要なことは何か。
今回、株式会社ゴンドラ ソリューション本部 副本部長の小野祐二氏に、DX推進の秘訣について詳しいお話を伺いました。
株式会社ゴンドラ ソリューション本部 副本部長/システムソリューション部 部長
北海道札幌市出身。MBTIはENTP型。30代で地元札幌から上京し創業期のゴンドラに入社。金融系システムに長年携わり、要件定義から設計、開発、運用までを担当。現在も営業から業務設計を担当している。システムはもちろん、お客様のビジネスを理解しビジネスの成長に目線を向けている。
ーーDX推進が難しい理由をどのようにとらえていますか。
本来、DXとは業務の“IT化”にとどまらず、企業自体のあり方や市場にまで視点を広げ、ビジネスそのものや組織体制、風土まで変革することを意味します。それにより市場での優位性を確保し、競争力強化につなげることが目的のはず。
しかし多くの企業では、ITツールの導入や既存業務のデジタル化など“IT化”にとどまっているケースが少なくないのではないでしょうか。組織体制、風土の改革まで行っている企業は少ない印象です。
DXといいながら“IT化”にとどまってしまう理由としては、DXの定義やとらえ方が、各企業や個々人で異なることが挙げられます。DXの定義が異なることで、目標を明確化できず組織にも浸透しづらいのだと思います。
ーー“IT化”ではなく、本来の意味でのDXが必要な理由とは何でしょうか。
ITツールの導入や、アナログで行っていた業務をデジタル化するなど、既存業務を“IT化”によって効率化することは重要です。
ただ現代では社会全体ですでに“IT化”が進んでおり、“IT化”だけでは競争優位性に働くことはありません。
“IT化”から、さらに付加価値創出につなげるには、IT技術によって収集したデータを活用し顧客へ高度な体験を提供することが求められるでしょう。
自社の業務システムの改修や運用を、外部の開発会社などに委託している企業は多いでしょう。
しかし外部任せの“IT化”では、これからの市場や環境の変化についていくのは難しいと思います。なぜなら、今後ますます市場や環境の変化スピードが加速するなか、何かある度に外部に依頼していては対応が遅れてしまうからです。
また自社の市場や強み、競合との差別化要因などに関して、外部の会社に理解してもらうには時間もコストもかかるでしょう。
市場変化のスピードに対応するには、“IT化”を外部に任せきりにせず、自社内のITリテラシーを高め、企業全体としてDXを推進することが重要です。
これまでのビジネスでは、企業やブランドが主体となりその発信によって市場が動いていました。しかし現代では、顧客側の発信や行動をもとにビジネスを展開する企業が増えています。
この背景には、SNSの発展とテクノロジーの進化による顧客データの分析が進んだことなどが考えられます。サービスの評価を高めるには、顧客の声を聞き行動を分析しながら満足度を上げる必要があります。
これからのビジネスでは、業務効率向上のための“IT化”だけでなく、顧客データを取得し顧客体験を変えるDXが求められるでしょう。
ーー“IT化”にとどまらず、本来の意味でのDXを推進するために必要なことは何でしょうか。
DXにおいてはITやシステムを扱うことから、情報システム部門などがDX推進を担っているケースも少なくないでしょう。
“IT化”であれば情報システム部門が中心となって進められると思いますが、DXを推進するにはあらゆる部門が協力し企業として取り組む必要があります。例えば顧客データの管理や活用、生産性向上のための体制づくりやナレッジ共有など、部門横断的な動きが求められます。
そのためDX推進の際にはその定義を明確化し、経営層を含む全員が「企業全体で取り組むもの」と長期的視点でとらえることが重要です。
DXプロジェクトを支援した際は、顧客企業の経営層にDX推進の意義や戦略などを理解いただくことで、全社的な取り組みとして進めることができました。
経営層へ理解いただくためにも、顧客組織内で特に推進力のある方をリーダーとし、説明資料やプレゼンテーション作成を全面的にサポートしました。
DXを推進するには、社内にプロジェクト全体のハブとなるチームを構築できると良いでしょう。外部任せにせず、社内でスピーディーかつ柔軟に動ける体制があることが重要です。
また経営層にも意見を言えるような、推進力のあるリーダーの存在が欠かせません。これまで私が関わったプロジェクトでは、現状に課題を持ち、変革したいという強い気持ちのある方がプロジェクトを動かしていました。
もちろんリーダーだけではDXを推進できないため、目的を明確化しいかにチーム全体が同じ方向を向くかが大切です。
あるプロジェクトでは、顧客企業内の体制構築からご支援をスタートしました。ポリシーの策定から意思決定の方法、社内調整に至るまでをサポートしました。
体制構築後も、顧客ご自身で自走できるよう伴走支援を行っています。
DX推進には経営層の理解と体制づくり、社内へ浸透させ各部門が連携を行うなど、時間もコストもかかります。ただそれによってビジネスそのものを変革していく取り組みであるため、効率化やコスト削減の観点だけで評価しないことが重要です。
当社ではITツール導入支援や業務効率化だけでなく、顧客ビジネス全般の成長を支援しています。顧客へヒアリングを行うなかで、場合によってはシステム開発だけではなく、KPI設計や業務支援にご提案を切り替えることもあります。
当社では“IT化”による業務効率化はもちろん、それだけにとどまらず、ブランディングや集客、制作から開発、CRMまで網羅した統合型支援によって、顧客ビジネスを成功に導きます。
私が所属するシステム・ソリューション部でも、システム開発「だけ」にこだわらず、組織体制構築からKPI設計、自走までの伴走支援を行っています。
“IT化”にとどまらず、本来の意味でのDXを推進するには、幅広い領域の知識やスキルが必要です。当社の統合型支援であれば、顧客のDXを加速するサポートができると考えています。
当社はフィロソフィーとして「カスタマーエンゲージメント」を掲げています。顧客を好きになり、顧客ビジネスの成功を一番に考えるという思想がベースにあることで、ただの“IT化”を超えた、組織体制構築などの支援ができています。
当社のすべての部署において「カスタマーエンゲージメント」の考え方が浸透しており部門間の連携もスムーズだからこそ、顧客へゴンドラ社ならではの提案ができるのだと思います。例えばシステム開発にとどまらず、顧客の使いやすさを考慮したUI/UXを提案するなど。
今後も「統合型」であることを強みとし、顧客起点のサービスを提供していきたいと考えています。
ーーありがとうございました!