インタビュー

一気通貫で数値を可視化し、改善プロジェクトでPDCAの精度を上げる【カオナビ】|2024 BtoBサイトランキング入賞企業に聞く

一気通貫で数値を可視化し、改善プロジェクトでPDCAの精度を上げる【カオナビ】|2024 BtoBサイトランキング入賞企業に聞く

BeMARKEではBtoB企業が運営するWebサイトを、ユーザビリティや集客力、コンテンツの充実度などの項目から評価を行い、2024年版のランキングを作成しました。

今回、ベンチャー部門ランキング5位のタレントマネジメントシステム「カオナビ」を運営する株式会社カオナビ デザイナーの藤田大氏とWebディレクター兼マーケターの岸本りか氏に、成果につなげるWebサイト運営の秘訣を伺いました。

BtoBサイトランキングTOP >>

【受賞Webサイト】カオナビ

【評価のポイント】ユーザビリティ、コンテンツの充実度と品質、SEO、ユーザーコミュニケーションというすべての評価基準において高ポイントを獲得しています。そのなかでも特にユーザーコミュニケーションに優れていることが特長です。ユーザーのニーズや課題に対して、解決につながるコンテンツが用意されています。

目次

多様なユーザーに向けて「カオナビの導入検討意欲を高めること」が目標

ーー「カオナビ」のWebサイトはどのような組織体制・人数で運営されているのでしょうか。

藤田氏:Webマーケティンググループから選抜されたメンバーによる「Webマスターチーム」がWebサイトの施策立案・実行から数値分析まで担当しています。マネージャー、マーケター、デザイナーなどが在籍する6名ほどのチームです。クリエイティブの制作は、チーム内のデザイングループが行っています。

(左から)藤田氏、岸本氏。岸本氏はカオナビのマスコット・めんたろうとともに
(左から)藤田氏、岸本氏。岸本氏はカオナビのマスコット・めんたろうとともに

リード獲得数から商談化率までをKPIに

ーーWebサイト運営における目標、KPIを教えてください。

岸本氏:「Webサイト来訪者がカオナビの導入を検討する気持ちを高めること」を目標にWebサイトを運用しています。

Webサイトの主な目的は「カオナビの導入」へつなげることですが、企業の「顔」という役割も同時に担っているため、サービス導入済みユーザーやパートナー企業など多様なユーザーの幅広いニーズにこたえる工夫をしています。

KPIには、Webサイトからのリード獲得数とリードの商談化率を設定しています。

営業とマーケティングは“良い意味で連携しすぎない”

ーー目標数値を追うにあたって営業チームとはどのように連携されているのでしょうか。

岸本氏:Webマスターチームの目標数値は営業の受注数から逆算して設定していますので、もちろん営業部とは目標数値と進捗を共有しています。

ただ日々の業務においては、“良い意味で連携しすぎない”ことも意識しています。

例えば営業用の資料をマーケティング部が制作する際に、営業が打ち出したい訴求と少しズレていたとしてもリード獲得に有効な切り口があれば、マーケティング部から積極的に提案しています。

Webサイトには「カオナビ」を指名検索で訪れた方から「タレントマネジメント」を検索して何となく訪れた方まで、さまざまな温度感のユーザーがいらっしゃいます。マーケティング部には、そういった多様なユーザー向けのサービスを提供するなかで得られた手法が蓄積されているため、自信を持って営業に伝えています。

Webサイト運用における3つの課題と対策

ーーWebサイト運用においてどのような点を課題ととらえ、対策しているのか、詳しく教えてください。

【課題1】他社との差別化

岸本氏:タレントマネジメントサービスの領域における競合他社が増えてきたなかで、カオナビの強みや独自性をWebサイトでどのように表現しユーザーに伝えるのか、ということが1つ目の課題です。

まずはWebマスターチーム内で、カオナビの強みをしっかりと明文化することからはじめました。Webサイト上で独自性を打ち出すことによってどのように競争優位に働くか、仮説を立てながら試行錯誤しているところですね。

マーケティングの側面からブランディングを行うことで、営業の受注率向上に良い影響を与えたいという意識で、チーム一丸となり取り組んでいます。

「改善プロジェクト」によって改善の精度を上げる

藤田氏:競合他社との差別化やコンテンツの見直しにあたっては、Webマスターチームからスピンアウトさせた「改善プロジェクト」でも議論を重ね実行に移しています

改善プロジェクトでは、ブランディングも含めたWebサイト運用におけるさまざまな課題をプロジェクト化し解決していくということをしています。

プロジェクトの進め方としては、まずWebマスターチームに改善すべきことと施策内容をプレゼンします。そのプレゼンを受けて、さらに議論を重ねブラッシュアップした上で施策実行に移すという流れによって、各施策の精度を上げています。

【課題2】多様化するユーザーへの対応

藤田氏:2つ目の課題は、さまざまな目的を持つ多様なユーザーに向けてどのように対応するかということです。

メインサービスであるカオナビの他に、エンタープライズ向け、教育機関や政府・自治体向けやパートナー向けサービスを複数展開しておりそれぞれに目標を設定しています。

またカオナビはサービス名と社名が同一であるため、企業情報を知るために指名検索でWebサイトに訪れるユーザーも多く、ビジネス用途との切り分けが難しいですね。

ユーザーの動向を見ながら調整し続ける

特にグローバルナビゲーションは項目を増やしすぎると、数値が落ちることが結果として出ているため、慎重に調整しているところです。コンテンツの内容や導線についてもユーザーの動向を見ながら試行錯誤を繰り返しています。

【課題3】数値的変化を可視化しづらい

岸本氏:3つ目の課題は、部門ごとに複数のツールを使っておりそれぞれが分析・改善を行っていることで、データを一気通貫で可視化できていなかったことです。

実は数年前まで、ユーザーがどのようなチャネルを経由しどのようなタイミングの施策が当たり受注につながったのか、適切な計測ができていなかったのです。部門ごとにデータ化されているものの途中で分断されていました。

一気通貫で数値を可視化できる仕組みを構築

岸本氏:部門ごとのデータ分析と改善施策では限界があるため、リード獲得から受注までリードの数値的変化を一気通貫で可視化できる仕組みを整えました

また昨年にはマーケティング部内に数値を扱う専門チームを立ち上げました。主な役割は、マーケティング担当者が数値分析しやすい環境を整えることです。システムのつなぎ込みや分析項目の精査などですね。

改善プロジェクトには数値を扱うチームのメンバーも参加しているので、課題が見つかった段階で、改善に必要なデータは何かをいち早くキャッチアップし実行に移せるのが良い点だと感じています。

(左から)藤田氏、岸本氏。岸本氏はカオナビのマスコット・めんたろうとともに

成果につながるWebサイト運用の秘訣

ーーWebサイト運用を成果につなげるために、どのような取り組みをされていますか。

【秘訣1】ABテストを実施し“確証”を持って改善していく

岸本氏:Webサイトの改善を行う際にはABテストを実施し、その数値をもとに内容を検討した上で施策を実行しています。そうすることで、さらなる改善を図る場合にも効果を落とさず成果につなげることができます

リソースが限られるなか成果を最大化させるためには、施策全般において結果を数値で表しナレッジを蓄積していくことが大切です。

施策について、営業と意見が異なる場面でも数値をもとに話を進めることで建設的な議論につながります

【秘訣2】ユーザー動向を多面的にとらえる

藤田氏:ユーザー動向を分析する際には、一面的でなく多面的にとらえることで成果につながるヒントが見つかります

例えばWebサイトの閲覧履歴だけでなく、ヒートマップでコンテンツ内の興味関心度合いを測ったり、短期・長期それぞれの期間での変化を比較したりすることで、意外なニーズを発見することがあります。またヒートマップを見る場合も、コンバージョンしたユーザーとしていないユーザーでは行動が異なるため、導線を工夫したり情報を精査したりといった解決策がたくさん見つかるんですね。

一面的な結果分析では成果を出せなかった経験からも、多面的かつ施策全体を見据えた上での分析と改善を心がけています。

【秘訣3】ユーザー視点で考える

藤田氏:ユーザー側の視点に立って考えるということは、秘訣というよりWebサイト運用の基本的なマインドセットとして持つべきだと思っています

「ユーザーに読んでほしい」コンテンツをつくるのではなく「ユーザーが読みたい」コンテンツをつくることが重要です。自分がユーザー側に立った時に読みたいと思うコンテンツをつくるということを、これまでずっと心がけています。

ーーユーザーの心理や行動を理解するために、工夫されていることはありますか。

岸本氏:不定期でユーザーインタビューを実施しています。

またイベント出展時には、マーケターとデザイナーがイベントブースに立ち、お客様と直にお話する機会をつくっています。その際に、サービスに対する意見や新機能に関する反応などを持ち帰り、改善に生かしています。お客様と接することで、数値だけでは分からない、温度感などを実感できることが貴重ですね。

営業同行も定期的に行っています。最近はオンライン商談も増え、営業同行しやすい環境にあるため、毎月何件かは必ずマーケティング部のメンバーが営業動向しお客様の話を聞き、チームに共有しています。

ーー具体的なユーザー像やペルソナを設定されているのでしょうか。

藤田氏:過去には作成していたこともあります。ただ直近では、ペルソナを具体的に設定するというよりは、ユーザーの行動を数値化しニーズを明確にするというようなプロファイリングに近い形で進めています。

Web業界は変化のスピードが早いため、ペルソナを設定してもすぐに古くなる可能性があります。特に今、タレントマネジメントの領域はキャズムにかかるタイミングといえます。これから一気にシェアが拡大し一般的に普及していく可能性が高く、そうなったときにお客様層が大きく変化するでしょう。

そのため現時点でペルソナを固めるよりは、ざっくりとしたプロファイリングをどんどんブラッシュアップしていくのが有効だと考えています。

過去に接触したユーザーにも“進化したカオナビ”を伝えたい

ーー今後の展望を教えてください。

岸本氏:カオナビは、タレントマネジメントシステムの初期からサービスを展開し認知を広げてきました。サービスの年数を重ねてきたからこそ、過去にカオナビのWebサイトを訪れたユーザーに改めて「現在のカオナビ」を知っていただきたいと考えています。

時代にあわせて機能が増え、お客様の課題を解決できる範囲も広がっています。数年前のカオナビのイメージで止まっている方にこそ、進化したカオナビを伝えていきたいですね。

スペシャリストとして成長しながらお互いにサポートし合うチームに

藤田氏:組織としては、改善プロジェクト発足によって担当領域を超えた意見交換が活発になっているのが良い流れだと感じています。例えば広告やLP制作の担当者がWebサイトの改善につながる意見を出してくれることも増えてきました。

担当領域における専門性を磨きながらも、領域を超えてお互いにサポートし合う体制をこれからさらに強化したいですね。

個人の視点や働きだけでは限界があり偏りも出てしまうでしょう。チームメンバーそれぞれが積極的に意見を出しチーム力を上げることで、さらにサービスを磨いていけると良いですね。

(左から)藤田氏、岸本氏。岸本氏はカオナビのマスコット・めんたろうとともに

ーーありがとうございました!

Information

カオナビ、初の大型カンファレンス「kaonavi FACE to FES ’24」が2024年2月7日(水)に開催決定。ユーザーをはじめ、人事・人材マネジメントに関わる全ての人を対象にしており、人と組織の現在から未来までを描くことで、あるべき人事の姿を模索できる場です。
メインステージでは、バスケ男子日本代表ヘッドコーチのトム・ホーバス氏などによる講演も。

「kaonavi FACE to FES ‘24」特設サイト:https://facetofes.kaonavi.jp/


この記事に関連するお役立ち資料

この記事を書いた人

鈴木 舞
鈴木 舞 | BeMARKE編集長

BeMARKE編集長。これまで15年以上Webメディア運営・コンテンツ制作に携わる。前職では美容系Webメディア編集長としてサイト規模を2年で28倍の2,800万PVに成長させる。2022年より現職。BeMARKEのコンテンツ編集・制作方針や計画の策定、取材・執筆などを担当。

著者の最新記事

もっと読む >

あわせて読みたい