セミナーレポート

お問い合わせを増やすキラーコンテンツ作成の考え方【セミナーレポート】

お問い合わせを増やすキラーコンテンツ作成の考え方【セミナーレポート】

BeMARKEは2月28日、株式会社アジタスの石郷岡俊介氏を迎え「Webマーケ巧者が実践している お問い合わせを増やすキラーコンテンツ作成の考え方」と題したセミナーを開催しました。キラーコンテンツとは、Webサイトを訪問した見込み客の購買意欲を高める魅力的なコンテンツのことです。本セミナーでは、BtoBマーケティングにおけるキラーコンテンツの重要性を解説します。また、キラーコンテンツの王道ともいうべき良質な導入事例の作り方から、作成におけるポイントまでを紹介します。

目次

【登壇者】
石郷岡 俊介(株式会社アジタス マーケティング支援事業部営業課リーダー)
セールス兼コンサルとして、BtoC、BtoB業界・規模問わず様々なクライアントを担当。 Webマーケティング全体の戦略設計から、Webサイトの分析・改善案立案、各種コンテンツの企画など計画から実行まで幅広くサポートしている。 顧客ファーストを徹底するとともに、常にお客様の期待を超えられるような支援を目指している。 2019年より現職に着任。

BtoBマーケティングにおけるキラーコンテンツの重要性

本セミナーでは、BtoBマーケティングにおけるキラーコンテンツの重要性、キラーコンテンツの王道ともいうべき良質な導入事例、導入事例コンテンツの作り方と伝え方について解説します。

キラーコンテンツとは

キラーコンテンツとは、Webサイトを訪問した見込み客の購買意欲を高める魅力的なコンテンツのことです。多くのユーザーの人気を集めるコンテンツや、商品・サービスを購入する際に頻繁に参照されるコンテンツが、これにあたります。BtoBマーケティングでは、「コンバージョンを後押しするコンテンツ」という意味でも使われます。

キラーコンテンツとは?

キラーコンテンツの類型は、主に次の2つです。

  • 商品力やスペックをアピールするコンテンツ
  • 営業力をアピールするコンテンツ

「商品力やスペックをアピールするコンテンツ」の例としては、機能・スペックページ、価格表・見積表ページ、他社製品との比較や自社製品の独自性を可視化した製品比較表ページなどが挙げられます。

「営業力をアピールするコンテンツ」には、第三者が商品・サービスを評価する声を集めた第三者からの証言ページや導入事例・実績ページが該当します。

「第三者からの証言」には、外部メディアからの受賞歴なども含まれます。また、「導入事例・実績」には、BtoB商品では可視化されにくい口コミや実際の利用者による評価など、導入後のイメージやマッチ度を知る上で有益なコンテンツが含まれます。

以上の通り、「商品力やスペックをアピールするコンテンツ」と「営業力をアピールするコンテンツ」の全5種類のページが、BtoBマーケティングにおいて「キラーコンテンツ」と呼ばれるものです。

コンテンツに投資すべき理由

このようなキラーコンテンツに投資すべき理由は、2つあります。

営業が接触する前に勝負は大体決まっている

1つ目の理由としては、BtoB企業における情報取集がWebサイトを中心に行われるようになるなか、WebサイトやWeb広告などに求められる情報量が増加していることが挙げられます。他社ではWebサイトで簡単に手に入る情報が、自社では「営業担当者に会って初めて分かる情報」という状態では、その時点で他社に差をつけられてしまいます。

昨今、商品スペックや価格帯などの商品概要や自社とのマッチ度についてWebサイトで一次的な情報収集をするユーザーが増えています。Webサイトに商品の詳細情報を掲載できていないとユーザーの検討候補に挙がらないでしょう。

Webサイトでの訴求力を高めてコンバージョンを生み売り上げにつなげるためにもキラーコンテンツへの投資が重要です。

他社ではWebサイトで簡単に手に入る情報が、自社では「営業担当者に会って初めて分かる情報」という状態では、その時点で他社に差をつけられてしまいます

2つ目の理由としては、BtoB商品は複雑な意思決定のプロセスを経て導入に至るということが挙げられます

多くの企業Webサイトには価格や機能、仕様やサポート情報、保証といった単純価値に関する情報は掲載されていますが「自社にマッチするか」や「商品導入による費用対効果はどの程度か」、「いつ頃までに成果を上げられるか」という論理的価値を伝える情報は少ないでしょう。また、企業やサービスに対する信頼感や安心感といった情緒的価値を伝える情報も少ないようです。

ユーザーがWebサイトを中心に情報収集するようになった今、Webサイトに求められる役割のレベルが上がっています。Webサイトで製品の基本情報を伝えるだけでなく、論理的価値と情緒的価値をいかに効果的に伝えられるかがコンバージョンや売り上げに大きな影響を与えます。

キラーコンテンツを充実させることで、見込み顧客との商談機会を最大化できます。また商品やサービスに対する安心感と信頼感の醸成といった効果もあります。

キラーコンテンツの王道は良質な導入事例

当社では、キラーコンテンツのなかでも、良質な導入事例を紹介するコンテンツを充実させることをおすすめしています。理由は大きく2つあります。

導入事例コンテンツが有効な理由1

1つ目の理由は、高品質な導入事例で論理的価値や情緒的価値を伝えられれば、コンバージョン率(CVR)に大きな差をつけられるためです。

高品質な導入事例で論理的価値や情緒的価値を伝えられれば、コンバージョン率(CVR)に大きな差をつけられる

多くのBtoB企業は単純価値を伝える最低限のキラーコンテンツしか用意できていません。ユーザーにとって、製品の機能や価格といった情報の収集は容易である一方、論理的価値や情緒的価値が伝わるコンテンツは少なく収集は困難であるといえるでしょう。

導入事例をはじめとしたストーリー調のコンテンツや第三者への取材をもとにした記事を掲載することで競合他社に差をつけられます。

導入事例コンテンツが有効な理由2

導入事例に注力すべきもう1つの理由は、BtoB企業における意思決定のプロセスにあります。

BtoB企業における意思決定のプロセス

BtoB企業では、購入者と利用者が異なったり、意思決定の過程に複数人が介在したりします。意思決定のプロセスが複雑な上、必ずしも商品に詳しいわけではない複数人の協議を経て、検討が進められます。「皆で決めれば良い商品を選べるだろう」という前提で協議し商品を選定、購入に至るという企業が少なくありません。

Webサイトでコンバージョンする人物、すなわちBtoB企業における購入担当者は、上司や実際の利用者に対して、商品・サービスの良さを効果的に伝える必要があります。

ユーザーが真に求めるコンテンツとは導入事例である

購入担当者は、商品・サービスを選定する際、次のようなことを考えます。

  • 良い商品かもしれないが、上司にどう伝えるべきか分からない。
  • 上司に費用対効果を説明する自信がない。
  • 自社が使いこなせるかイメージできない。
  • 導入後の責任が自分にのしかかって仕事が増えるのが怖い。

こうした悩みに応えられるキラーコンテンツが導入事例です。導入事例なら、商品に詳しくない人に対しても、導入効果や導入後のイメージをストーリー調で分かりやすく伝えられます。多角的・総合的に判断するための情報を得られる導入事例こそ、ユーザーが真に必要とするコンテンツなのです。

BtoBマーケティングにおける導入事例がもたらす効果

BtoB事業には、次のような特徴があります。

  • ロジカルに考える。
  • 慎重に時間をかけて決定する。
  • リスクを回避しようとする。
  • 現場(利用者)の意見を踏まえて決定する。

一方で、BtoBの商品・サービスには、次のような課題があります。

  • 商品の強みの詳細が分かりづらい。
  • 口コミが少ない。
  • 導入してみなければ品質を判断できないい。
  • リスクを事前に把握しづらい。
まとめ:BtoBマーケにおける導入事例がもたらす効果

導入事例があれば、これらの課題を解決できます。製品導入によるメリットや効果の紹介を通して製品の魅力や品質を伝えることができ信頼感を醸成できます。

また、上司に導入事例記事を共有することで製品に対する理解を促すことができます。情報を説明する手間が省けるという点もメリットです。

導入事例のニーズはデータにもあらわれている

このような理由から、導入事例コンテンツはコンバージョン率(CVR)を高める効果ももたらします。その効果は、株式会社WACULによる調査結果にも表れています。事例コンテンツ数が30に近づくにつれCVRも上がるという結果が出ています。

導入事例は、実際にユーザーに求められかつCVRを高める効果のあるキラーコンテンツといえます。

用意すべき導入事例コンテンツの種類

用意すべき導入事例コンテンツの種類

用意すべき導入事例の種類は、大きく3つに分けられます。1つ目は企業名を出せないケーススタディ2つ目は具体的なストーリーの紹介はなく、実績のある企業のロゴを一覧で掲載する実績ロゴ3つ目はユーザーインタビューです。

「関係性によっては社名を出せない企業がある」、「コンテンツ作成にリソースを割けない」といった事情に合わせて、ケーススタディや実績ロゴを選択することもあるでしょう。しかし、ユーザーに最も求められやすい導入事例は、ユーザーインタビューです。なぜなら、ユーザーインタビューこそが、「自社に対する信頼を獲得する」、「サービスへの安心感を醸成する」といったキラーコンテンツの役割を最も効果的に果たせるからです。

実際に導入した企業をイメージでき、導入の効果がストーリー調で解説されているユーザーインタビューは、ユーザーにとって魅力的なコンテンツです。コンテンツ制作にリソースを割ける場合は、ユーザーインタビューの作成に注力しましょう。

導入事例コンテンツの作り方と伝え方

ここからは、導入事例コンテンツの作り方と伝え方について解説します。

導入事例コンテンツの作り方、流れ

導入事例コンテンツの流れは、次の通りです。

  1. 導入前の課題
  2. 導入に至った背景
  3. 導入後の成果
  4. サービスおよびサポートの良かったところ

この4つの流れは、すでに一般化しつつあります。シンプルで再現性の高い型ができているため、構成では差別化できません。そこで、CVRに差をつけるには、読者目線の導入事例コンテンツを作ることが重要です。

読者目線の導入事例コンテンツとは

まず、読者目線でない導入事例コンテンツの特徴は次の3つです。

  • 専門用語が多用されていて、一定の知識がなければ分からない。
  • 言葉の抽象度が高く、導入イメージがわかない。
  • 商品・サービスの良いところしか書かれておらず、信用できない。

こうしたマイナスの特徴をプラスに変えると、読者目線の導入事例の特徴になります。

  • 商品・サービスに詳しくない人でも分かる用語と構成になっている。
  • 踏み込んだ質問を多用して具体的な内容を引き出している。
  • 懸念点やリスクについても言及されている。

これらのプラスの特徴をそなえた導入事例が、「ユーザー目線を真に考えた導入事例」といえます。

ユーザー目線を真に考えた導入事例とは

「ユーザー目線を真に考えた導入事例」コンテンツを作るには、取材の準備と原稿作成の段取りが欠かせません。

具体的には、記事のレビュー体制が組まれていることや、事前に想定問答と深掘り質問の準備ができていることなどが挙げられます。また、「導入前の懸念点」や「解決できなかった課題」といったネガティブな質問にも対応してもらえるような関係構築と雰囲気づくりも重要です。

取材と記事作成におけるポイント

取材と記事作成におけるポイントをチェックリストにまとめました。ポイントは10点ほどありますが、本セミナーでは3点に絞って解説します。

取材と記事作成におけるポイントをまとめたチェックリスト

取材の事前準備を徹底する

取材の事前準備を徹底する

1つ目は、「当日のタイムスケジュールとヒアリング内容はシートにまとめ事前に共有する」という点です。

事前準備ではまずヒアリングシートを作成し、質問内容をインタビュイーと共有しておきましょう。可能であれば、当日までにヒアリングシートを回収し内容を把握しておきます。

その回答を参考に、インタビュイーが意欲高く話せる部分、抽象度が高い部分、かみくだいた説明が必要な部分などを確認しておきます。その上で、当日のインタビューでメリハリをつけて深掘りした質問をします。

当日のインタビュー時間は限られていますので、厳密なスケジュール管理が欠かせません。当社が取材代行する際は、香盤表(取材における人や物の動き方を示したスケジュール表)を用意して臨みます。当日の流れをインタビュイーにも共有し、限られた時間を最大限活用しましょう。

インタビュアーは読者の代弁者

2つ目は、「読者の知識レベルに合わせて質問を準備する」という点です。

取材中の対応まとめ

「インタビュアーは読者の代弁者である」という意識で、読者の知識では理解しにくい回答に関する深掘り質問を準備しておきましょう。

例えば、主な読者層がBtoBマーケターである場合、「セールス・イネーブルメントのKPIはどう設定して進めていくと良いでしょうか?」というように、具体的な回答を引き出せるような踏み込んだ質問をすることが考えられます。また、「BtoBマーケターはセールス・イネーブルメントにどう向き合えば良いでしょうか?」というように、読者の立場に立った質問を投げかけましょう。

その際には、「もう少し踏み込んだ質問をさせていただきますが」など枕詞を使い、読者が興味を持ちそうな箇所を深掘りすることが重要です。

撮影者を別途アサインする

3つ目は、「インタビュー記事には、語り手の表情が分かる良質な写真を掲載する」という点です。

ユーザーインタビューの目的のひとつは、企業やサービスに対する信頼感や安心感を読者に伝えることです。語り手の生き生きとした表情は、信頼感や安心感を効果的に伝えます。したがって、インタビュー風景を撮影すること、語り手の表情をとらえた写真を掲載することが重要です。とらえたい表情を鮮明にカメラに収められるよう、カメラマンの手配をおすすめします。

導入事例の効果を高めるTips

導入事例を一定数用意できた後は、コンテンツの効果を高めていきましょう。

冒頭に概要を記載する

導入事例記事の冒頭に概要を記載する

導入事例は、購入前のユーザーの安心感を醸成するには高い効果を発揮します。一方で、検討の初期段階にあるユーザーに最初からストーリー調の長文を読み込ませようとすると、ストレスを与えかねません。検討の初期段階にあるユーザーの興味を引くには、冒頭に箇条書きで概要を記載すると良いでしょう。

このように、「忙しい人でも分かった気にさせる」概要を記載しておくことで、検討の初期段階にあるユーザーもコンバージョンにつなげられます。

検索機能を実装する

導入事例の検索機能を実装する

先ほど、導入事例の数が30に近付くにつれてCVRが向上するというデータを紹介しました。しかし、30を超えるコンテンツの一覧から自社に近い事例を探し出すのは容易ではありません。

そこで、導入事例の検索機能を実装することをおすすめします。業種、社員規模、導入サービス、利用サポートなどの軸でソートできる検索機能を用意しておくことで、ユーザーの幅広い検索ニーズに応えられます。

また、一覧ページの各記事にはユーザーが「見てみたい」と思うような引きのあるタイトルを付けることも重要です。

最適なコンバージョン導線を設計する

キラーコンテンツと呼ばれるからには、あくまでコンバージョンに貢献するコンテンツでなくてはなりません。CVRを高めるには、コンテンツごとに最適なコンバージョン導線を設計しておく必要があります。

最適なコンバージョン導線を設計する

キラーコンテンツに適したコンバージョン導線としては、問い合わせフォーム、無料トライアル、資料ダウンロードなどが挙げられます。いずれも重要な導線ですが、導入事例コンテンツに最適な導線は資料ダウンロードです。

導入事例を見て導入のイメージがわいてきた担当者は、その後、上司をはじめとする社内の説得へと移ります。その際、資料を上司に提出して「詳しい話を聞いてみませんか」と打診したり、事例集をダウンロードして上司に共有したりすることが予想されます。

そのような担当者を最もコンバージョンに導きやすい導線が、資料ダウンロードです。導入事例の特性に合わせて、資料ダウンロードの導線を設計してみてください。

すべての受注機会はコンテンツから生まれる

CVRの向上を目指す以上、セッション数を高める取り組みも無視できません。「すべての受注機会はコンテンツから生まれる」と心得ましょう。その上で、ユーザーの検討状況に合わせて、注力すべきコンテンツの優先度を考えてください。

例えば、CVRが低い場合は、機能紹介にとどまらない導入事例や受賞実績をまとめ直すと良いでしょう。逆に「CVRは基準値には達しているものの、自然検索の対策ができていない」という場合は、セッション数を高めるための対策をする必要があります。

すべての受注機会はコンテンツから生まれる

このように、自社のWebサイトの課題を押さえた上で、優先順位をつけてコンテンツを作っていきましょう。

まとめ

本セミナーではまず、キラーコンテンツの重要性について解説しました。営業がお客様に直接接触することが難しくなっている昨今、機能価値や情緒的価値を訴求して受注できる企業は限られています。そのような企業の共通点は、キラーコンテンツが充実していることです。なかでも、導入事例コンテンツ、とくにユーザーインタビューが最もユーザーに求められているといえます。良質なユーザーインタビューを作成するためには、取材の段取りと準備を徹底しておきましょう。


この記事に関連するお役立ち資料

この記事を書いた人

BeMARKE編集部
BeMARKE編集部

BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。

SNS:XYouTube

著者の最新記事

もっと読む >

あわせて読みたい