基本ノウハウ
課題を枝分かれ状に羅列し、考え得る要素すべてを比較・検討するロジックツリーは、課題の原因や解決策を効率的に探せる手法です。ビジネスシーンはもちろん、プライベートにおいても、ジャンルを問わずさまざまな課題に対して活用できます。本記事ではロジックツリーのメリットや種類、作成手順などを解説していきます。
ロジックツリーとは、課題を枝分かれ状に分解して図に書き出すことで、原因や解決策を見つけ出す技術です。他者に考えを共有したいとき、書き出してアイディアを整理したいとき、複数の案を比較・検討したいときなどにも有効です。
ロジックツリーには以下のようなメリットがあります。
ロジックツリーは、根本的な課題や、その時点で出ているすべてのアイディア、そして各アイディアに到るまでのプロセスをひとつの図の中に書くため、複雑な課題であっても全体像を掴みやすいメリットがあります。課題の全体像が見えることで、同じ思考プロセスを何度も繰り返す「思考が迷子」の状態になったり、考慮するべき要素を見落としたりといった失敗を防ぎやすくなります。
ロジックツリーでは、思考や検討のプロセスが頭に残ります。そのため、チーム内でアイディアを共有する際にロジックツリーを添えれば、それを見た人は作成者がどのように考えてアイディアを出したのか視覚的に理解することができ、言葉だけで説明するよりも正確に伝わりやすくなります。
ロジックツリーを作成する際には、課題の解決に直接寄与しそうな要素だけではなく、考え得るすべての要素を網羅的に書き出すことがポイントです。「軽く見ていた要素が実は重要だった」「思いもよらないところに解決のヒントがあった」などの発見につながり、当初の予想を超えた新たな選択肢に気づきやすくなります。
ロジックツリーを作成すれば、有力なアクションのアイディアが複数出たときに、優先順位を決めやすくなります。それぞれのアクションが及ぼす影響やその大きさについても、ひとつ図の中で比較できるため、納得の行く形での優先順位づけが可能になります。
ロジックツリーには、活用できる場面が異なる3つの種類があります。
whatツリーは、要素分解ツリーともいい、ある事柄を構成する要素に分解していくロジックツリーです。複雑な課題であっても、whatツリーを使って分解し、単純な要素の集合体として捉えれば、理解や説明が簡単になります。また、商品やサービスを選定するにあたって、選択肢の洗い出しをする際にも役立ちます。
whyツリーは原因追求ツリーともいいます。ある問題や出来事に対して、原因として考えられるすべての事柄を書き出し、掘りさげていくことで、本当の原因を突き止めるといった使い方をします。また、一見単純に見える問題であっても、実は複数の原因が複雑に絡み合って発生している場合があります。すでに原因が明らかであるにもかかわらず、なかなか解決できない問題があるときには、whyツリーによる掘り下げをおこなうことで新たな原因がみつかり、解決への糸口をつかめるかもしれません。
Howツリーは、問題解決ツリー、あるいはイシューツリーとも呼ばれ、課題に対する解決策や改善策を列挙していくロジックツリーです。whyツリーと混同されがちですが、whyツリーが原因の追求であるのに対し、howツリーはアクションを追求する場面で用いられるという違いがあります。
ここでは、ロジックツリーを作る時の手順と注意点について解説していきます。
ロジックツリーを作成する際には、以下の3つの手順を踏んでいきます。
ロジックツリーで掘り下げたい課題を設定します。左から右へとツリーを広げていく場合、いちばん左側に記載する項目です。
いちばん左にテーマを記載したら、右に1段下げた位置に、ツリーの種類(what/why/how)に応じた要素を書き出していきます。
一通り要素を書き出したら、右にもう1段下げ、さらに細かく要素を書き出します。可能な限りこれを繰り返し、課題を掘り下げていきます。
ロジックツリーを作成するときは、以下の2つに注意しましょう。
ロジックツリーを通して決めたいことや、明らかにしたいことを、事前にきちんと設定してから作成をはじめましょう。課題が不明瞭なままでは、ただ要素が並んでいるだけになり、ロジックツリーの役割を果たすことができません。
要素を書き出す際には、MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive:重複なく、漏れなく)であることを徹底しましょう。選択肢を抜け漏れなく記載することで、ベストなアイディアを見逃すことがなくなります。また、掘りさげていく段階においても、時には上位の要素を振り返りながら、重複や漏れがないよう確かめてください。
ロジックツリーについて解説しました。ロジックツリーとは、課題を枝分かれ状に分解して図に書き出すことで、原因や解決策を見つける手法です。図にすることで課題の全体像が分かりやすくなるため、自分の考えを整理したり、他者に共有したりする際にも有効です。
ビジネス・プライベートを問わず、さまざまな場面で活用できるので、ぜひこの機会にロジックツリーを使用してみてください。