基本ノウハウ
ChatGPTとは会話形式で質疑応答するAIチャットボットであり、言葉の続きを予測する仕組みで回答を出力するものです。ニュースなどでChatGPTを耳にする機会が増え、どのような場面で有効活用できるかと気になっている方も多いでしょう。
本記事ではChatGPTのアカウント開設やログイン方法を、スマホ・パソコンといったデバイス別に解説します。シーン別の使い方や無料版・有料版の違いはもちろん、注意点もあわせて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
まずはChatGPT活用の前準備として、アカウント開設からログインまでの手順を以下の3パターンに分けて解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ブラウザでの始め方は、スマホ・パソコンともに共通です。ここではアカウントの開設方法と、ログイン方法に分けて見ていきましょう。
ChatGPTの公式サイトは英語表記のため、ブラウザの翻訳設定を下図のように変えておくとアカウント開設を進めやすくなります。
ChatGPTのアカウント開設手順は、次の通りです。
※1:メールアドレスやGoogleアカウント、Microsoftアカウント、Apple IDのいずれかを選ぶ
各手順を画像付きで見ていきましょう。まずは公式サイトへアクセスし、画面左側にある「ChatGPTを試してみる」をクリックします。
遷移先のページで画面右側の「サインアップ」を選択し、必要な情報を入力していきましょう。
電話番号の入力後は、コードを取得するためにクイズへ回答します。
クイズの内容は落ち着いて取り組めば、簡単に解けるものばかりです。今回は左側の画像にある番号と模様が示す場所に、列車を移動させるというクイズでした。
クイズの回答後に得られたコードを入力し、アカウント開設は完了です。
複数のメールアドレスやGoogleアカウントなどを保有している場合は、アカウント開設で使用したものを忘れないようにしましょう。
ログイン手順はOpenAIの公式サイトへアクセスし、「ChatGPTを試してみる」をクリックするまではアカウント開設と同じです。その後は、次のように操作を進めます。
各手順を画像付きで見ていきましょう。まずは下図の画面で、アカウント開設時に選択したログイン方法を選択します。
無事にログインできたあとは質問画面に移るため、画面最下部にある入力フィールドへ聞きたい内容を打ち込みましょう。
例えば「CRMについて教えてください」と質問した場合、下図のような回答が出力されました。
概要を知る上では、十分役に立つことが分かります。なおChatGPTの学習データは、日本語に比べると英語の方が圧倒的に多くなっています。そのため回答の精度を上げたい場合は、英語で質問すると良いでしょう。
App StoreからダウンロードできるiPhone(iOS)版のアプリは、2023年5月26日にリリースされました。無料かつ音声入力にも対応しており、より手軽にChatGPTを使えます。Android版も今後リリース予定とのことです。
ここではiPhone版のアプリにおける、ChatGPTの始め方を見ていきましょう。
※2:Apple IDやGoogleアカウント、メールアドレスのいずれかを選ぶ
各手順を画像付きで見ていきましょう。App Storeからアプリをダウンロードしたら、ブラウザと同様に任意の項目からアカウントを開設します。ログインの場合は、最下部の「Log in」を選択しましょう。
スマホの質問画面はブラウザと同じように、入力フィールドは画面最下部にあります。
なお音声入力の手順は、以下の通りです。
ChatGPTが音声を聞き取りやすいよう、ゆっくりかつはっきりとした声で話しかけましょう。
ChatGPTは「AIチャットくん」というサービスと連携することで、LINEでも利用できます。始め方は次の通りです。
参照:株式会社piconグループでもChatGPTを!LINEでChatGPTの「AIチャットくん」がグループチャット対応をリリース! / 幹事や旅先決めなど、便利な使用例をご紹介
同サービスはリリース後1カ月で登録者数が130万人、総メッセージ数は3,000万回を突破しました。2023年4月にはグループチャットでも利用でき、「@All」のメンションをしたときのみ反応するなどより快適なサービスへと進化しています。
チャット送信数は無料版で5通までとなっていますが、月額980円のプレミアムプランに加入すると無制限です。アプリのリリースを待つAndroidユーザーも、スマホで簡単にChatGPTを試してみたい方はぜひ友達追加してみてください。
ここでは「触ってみたけど、あまり使えないと感じた」「有効活用する方法を知りたい」という方向けに、ChatGPTの使い方をシーン別に解説します。
なおいずれのシーンも次のような役割や制約条件を与えると、より精度の高い回答の取得が可能です。
字数制限は約2,000文字となっているため、回答が途切れた際は「続きを書いてください」と打ち込みます。また指示文(プロンプト)を改行したい場合は、「Shiftキー+Enterキー」を利用しましょう。
ビジネスシーンにおけるChatGPTの活用方法は、主に次の5つです。
ChatGPTは企画・キャッチコピーのアイデア出しや、壁打ちに最適なツールです。例えば日焼け止めの販促コピーについて質問したところ、次のような回答が出力されました。
また文献などのリサーチでは、長文から要点を絞ってもらうことも可能です。
ただし検索エンジンのかわりとして使うのは、あまりおすすめできません。理由の詳細は後述の「4.ChatGPTの使い方で注意したい5つのポイント」で解説します。
ChatGPTは次に挙げるような文章の作成でも、有効活用できます。
ビジネスにおいては、以下のような文書の作成で大いに役立つでしょう。
例えば文字起こししたテキストを議事録の形へ整えるよう指示した場合、次のような回答が得られました。
画像には載っていませんが、実際の操作画面では上記に続き「次のアクション」や「次の議題」といった項目も追加されていました。なお現在ではZoomなどと連携し、議事録を全自動で作成する画期的なツールを開発した例も出ています(※3)。
※3:dmenuニュース|ChatGPT達人が発明した最強の「業務時短ツール」 コードを一行も書かずに議事録を全自動化
これまで多くの時間や労力が必要だった作業も、ChatGPTの使い方を身に付ければ大幅な負担軽減につながるでしょう。
ChatGPTによる翻訳は日本語から英語はもちろん、英語から日本語も可能です。フォーマルやフレンドリーなど、文体の指定で雰囲気が異なる回答の出力もできます。
またフランス語やイタリア語など、英語以外の言語にも対応しています。ただしより精度の高い翻訳を求める場合は、APIのパラメータ操作やPythonなどを使ったプログラミングが必要です。
ChatGPTでは得たい結果を実現する最適な関数の提示や、難易度の高い数式の解説もできます。例えばDVAR関数の使い方について尋ねると、次のような回答が出力されました。
4つのステップに分けて解説した上、それぞれ以下のような例も提示してくれました。
上記以外にも複雑な数式を改行やインデントで見やすくする、別の関数を使ったより簡潔な数式を提示するなども可能です。エクセルに慣れていない方でも、ChatGPTの併用で基本的な操作はできるようになるでしょう。
ChatGPTでは、マクロやPythonなどのコード生成も可能です。例えば生年月日から年齢を計算するコードを作成するよう指示すると、次のような回答が得られました
また既存のコードを入力することで、問題点の発見や修正案の提示もできます。コーディング初心者はもちろん、エンジニアの補助ツールとしても使えるでしょう。
プライベートシーンにおけるChatGPTの活用方法は、主に次の2つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ChatGPTに次のような内容を入力すると、条件に合った料理の献立や作り方を教えてくれます。
残り物と料理時間を指定した場合の回答例は、下図の通りです。
画像には載っていませんが、上記に続いて野菜スープやチャーハンも提案してくれました。料理以外にも片づけや掃除のコツなども教えてくれるため、家事のサポート役としても活躍してくれるでしょう。
ChatGPTは次に挙げるような遊びや趣味など、楽しむことに特化した使い方も可能です。
例えばサスペンス小説の冒頭部分を作成するよう指示したところ、次のような回答が得られました。
一部拙い部分はあるものの、想像力をかきたてられる冒頭文でアイデア出しには最適です。ChatGPTの提案をもとにイメージを広げつつ、オリジナリティも加えるとより良い作品が完成するでしょう。
結論から言うと、ChatGPTの使い方は無料版(GPT-3.5)・有料版(GPT-4)ともに変わりません。ただし有料版の方がAI特有のハルシネーション※4(幻覚)が少ない分、回答の精度が高い傾向にあります。また質問や指示の入力から返答までのスピードが速い点も、有料版の大きなメリットです。(※4:この場合の「ハルシネーション」とは、AIが問いかけに対して事実ではない回答を生成することを指します。)
さらに有料版では、次のような利点もあります。
無料版と有料版の違い | GPT-3.5 | GPT-4 |
入力可能データ | テキストのみ | 画像とテキスト |
処理能力 | 短文のプロンプトに対応が可能 | 長文のプロンプトに対応が可能 長文の出力が可能 GPT-3.5に比べ精度が高い出力が可能 |
その他 | 画像・手書きメモの分析ができる プログラムの生成が得意 複雑な計算ができる |
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価格 | 無料 | 有料 月額$20(米ドル) |
なお有料版の料金は、アップグレード方法によって若干異なります。具体的な金額は、それぞれ次の通りです。
※5:2023年7月時点
ブラウザ上で有料版へ切り替える際は、質問画面の左下にある「Upgrade to Plus」を選択しましょう。
アプリでは、画面上部の「GPT-4」をタップすることで切り替えられます。
有料版の操作感を実際に体験してみたい方は、「1カ月間だけ」など期間を限定してアップグレードしてみると良いでしょう。
最後にChatGPTの使い方で注意したいポイントを、5つに分けて解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アプリストアで「ChatGPT」や「ChatGPT 日本語」と検索すると公式以外のアプリも出てきますが、偽物はインストールしないでください。公式アプリ以上に、情報漏えいなどの危険性があります。
本物の公式アプリが掲載されているのは、こちらのURLです。特にビジネスシーンで利用する場合は、偽物のアプリでトラブルに巻き込まれないよう注意しましょう。
ChatGPTで得られた回答をビジネスシーンで活用する場合は、ファクトチェックを徹底してください。GPT-4により回答精度が上がったものの、ハルシネーションの発生はゼロではないためです。
また無料版のGPT-3.5は、2021年までに収集されたデータをもとに回答する分、情報の鮮度はやや落ちてしまいます。最新情報も得たい場合は、ブラウジング機能が使える有料版へのアップグレードを検討しましょう。
ChatGPTは公式サイトでも情報漏えいのリスクがゼロではないため、個人情報や機密情報は入力しないようにしてください。
実際サムスン社員が機密コードや会議音声を入力し、問題になったケースがあります。またAmazonは社外秘データをChatGPTに共有しないよう通達し、従業員の危機意識を高めているところです。
トラブルが生じて顧客からの信頼を失うことがないよう、ChatGPTを使う際も情報管理は徹底しましょう。
ChatGPTをビジネスで使う場合は、使用方法に関する社内ガイドラインを作成することも大切です。具体的には、次のような項目について最低限定めておく必要があります。
使用ルールの例は、下記の通りです。
なおChatGPTの活用状況をまとめた調査によると、ビジネスシーンで多い使用用途は以下の3つになっています。
参照:JITERA|ChatGPTに関する調査を実施 企業でのChatGPT活用状況
同調査ではChatGPTを利用している企業が3割となっている一方で、活用ルールが決まっている企業は約1割にとどまっています。使用黙認が最もトラブルの起きやすい状態であるため、社内の方針を早期にかため、ガイドラインの作成・周知を進めましょう。
ChatGPTは今後の情勢によっては、規制がかかる可能性も少なくありません。実際イタリアのデータ保護当局は、一時禁止する措置を発表しています。個人情報の違法な集約や、子どもの年齢制限がない状態を問題視しているためです。
日本においても、市町村や企業によって利用の可否が分かれています。例えば横須賀市は、個人情報を入力しない範囲での導入を検討中です。一方鳥取県は、利用禁止を明言しています。また国内の主要企業における現時点での利用方針は、下表の通りです。
企業名 | ChatGPTの利用方針 |
パナソニックコネクト | 社内ルールに従って積極的に活用 |
NTT | グループ会社ごとにガイドラインを策定 |
KDDI | 社内ルールに従って申請、許可の上で利用 |
ホンダ | 許可・制限ともに方針提示はなし |
三井住友フィナンシャルグループ | 独自開発した生成AIの利用を検討中 |
企業によっても、ChatGPTの利用可否や社内ルールの策定状況が大きく異なっているといえます。ChatGPTの活用を検討中の企業は社会的な動きを注視し、臨機応変に対応していく姿勢が求められるでしょう。
ChatGPTはブラウザ上だけでなく、アプリやLINEを通じた利用も可能です。Apple IDやメールアドレスなど任意の項目でアカウントを開設すれば、無料版のGPT-3.5をいつでも使えます。有料版のGPT-4へアップグレードすると、回答精度やスピードが上がり、有効活用できる場面がさらに広がります。
ただし個人情報など流出トラブルが予測される情報は、安易に入力しないようにしましょう。ビジネスシーンで安全に活用するには、社内ガイドラインの作成と周知が必須です。