基本ノウハウ
エクセルは、営業管理ツールとしても、最も広く使われているソフトです。
SFAなど、営業管理に特化したツールと比較すると、より簡単に導入できる点が特徴です。
本記事では、エクセルで営業管理を行う際の手順やポイントを解説し、営業管理ツールとしてエクセルを選ぶメリットやデメリットについても見ていきます。また、無料で利用できるエクセルのテンプレートサイトもご紹介します。
営業管理とは、営業目標を達成するための計画を立て、その進捗状況や営業メンバーの行動を管理・共有することです。
営業管理によって、全体の目標と、達成に向けて一人ひとりのすべきことが明確になり、営業チーム全体の利益の最大化を目指せます。また、行動や進捗についても共有されるため、思うような成果が出ない場合には計画の軌道修正も柔軟に行えます。
営業管理を行うためには、営業チーム全体で目標の達成率や顧客情報などを共有するツールが必要です。SFA(営業支援ツール)のように高機能なツールもありますが、チームの規模や営業対象の数によっては、エクセルでも営業管理を行えます。
ここでは、エクセルで営業管理を行う際の手順と、注意するべきポイントについて紹介します。
エクセルで営業管理を行う際には、入力する項目を決めることから始めます。目標達成のために必要な項目が何なのかを見極め、入力項目を決めましょう。
営業管理で管理する主な項目として以下の4つが挙げられます。
目標管理 | 営業メンバーの目標とその進捗を確認する。目標の設定例は以下の通り。 ・売上目標 ・商談件数 ・受注数 ・成約率 ・解約率 ・売上達成率 など |
顧客管理 | 顧客情報を管理する。収集・蓄積する情報例は以下の通り。 ・企業名 ・企業規模 ・業種 ・担当者名 ・顧客満足度 ・契約更新売上 など |
案件管理 | 商談が成約するまでの進捗を管理する。蓄積すべき情報の例は以下の通り。 ・案件、顧客名 ・商談回数 ・商談内容 ・受注確度 ・受注予定額 など |
行動管理 | 営業メンバーの行動を管理する。行動指標の例は以下の通り。 ・営業メンバーのスケジュール ・営業内容 ・獲得アポ数 ・新規獲得数 ・休眠顧客への接触数 など |
入力する項目を決めたら、入力する際に守るべきルールを設定します。営業管理において、各メンバーが入力したデータは、チーム全体で共有されるものです。そのため、誰が入力し、誰が確認しても齟齬がないように、統一されたルールを設ける必要があります。
具体的には「セルを結合しない」「余白を作らない」「1案件ごとに1行」といったルールが挙げられます。また「毎日決まった時間までに入力する」など、入力のタイミングもルール化することで、情報共有をスムーズにすることが可能です。
ここでは、営業管理ツールとしてエクセルを選ぶ際のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
簡単に始められる点が、エクセルを用いた営業管理の大きなメリットです。
エクセルはMicrosoft Officeに含まれる非常にメジャーなソフトです。Microsoft Officeは日本企業の約6割に導入されており、学校で使い方を習うことも多いため、多くの人が基本的な扱い方を習得しています。営業管理を始める際、エクセルであれば新しく覚えることが少なく、操作方法についての教育を行う必要もほとんどありません。
また、費用面でもエクセルを選ぶメリットがあります。すでにMicrosoft Officeを導入済みの企業ならば、追加の費用をかけることなく営業管理を始められるのです。
エクセルは営業管理に特化したツールではないため、機能不足を感じたり、トラブルに悩まされたりすることがあるかもしれません。
代表的なデメリットとしては、同時編集ができない点が挙げられます。誰かが入力している間、他の人は入力できないため、同時編集が可能なツールと比べると効率が落ちます。このデメリットについては、チームのメンバーが多くなるほど顕著になるでしょう。
また、長く使っていると動作が遅くなるケースが大多数です。導入から間もない頃はサクサク動いても、蓄積したデータ量が多くなると動作が遅くなったり、画面がフリーズしたりといったトラブルが起こりやすくなります。MAや会計ソフトといった、他のツールと連携できない点も、エクセルにおけるデメリットとして挙げられます。
Microsoft Officeの公式ホームページや、各種テンプレートサイトで公開されている無料テンプレートを使えば、より気軽にエクセルでの営業管理を始めることができます。
ここでは、無料で使えるテンプレートサイトのうち、代表的なものを3つ紹介します。
Microsoft Office公式のテンプレートサイトです。売上目標管理表、ビジネス振り返りシート、ビジネスタスク管理表など、営業管理に使用できるテンプレートが複数用意されています。いずれもシンプルにデザインされているため、入力の際も、確認の際も、難しく感じることは少ないでしょう。
bizoceanは、ビジネスから日常生活まで、さまざまな場面で役立つテンプレートをダウンロードできるサイトです。営業管理用のテンプレートとしては、飲食店、小売業、建設業など、業種ごとのものが用意されている点が特徴です。
CRM(顧客管理システム)を提供するhubspotからも、営業管理用に使えるエクセルの無料テンプレートを公開しています。こちらはダウンロードする際にプロフィールの入力を求められます。目標管理、顧客管理、案件管理、行動管理を1つのテンプレート内で行うことができ、無料で使えるエクセルのテンプレートとしては多機能な部類になります。
SFAを利用すれば、エクセルよりも更に効率的に営業管理ができます。
SFAは営業管理に特化したツールで、複数人での同時入力や、より詳細なデータ分析、他のツールとの連携など、エクセルにはない機能が数多くそろっています。初期費用や月額費用がかかり、操作方法も改めて覚えなければいけませんが、メンバー数や案件数が多く、より成果の出る営業管理を目指すのであれば、SFAの利用がおすすめです。
エクセルを用いた営業管理について、手順やメリット・デメリットをご紹介しました。
営業管理ツールとしてのエクセルは、技術的にもコスト的にも手軽に始められるというメリットがある一方、成果を上げて顧客の数やチームメンバーが増えたり、蓄積されたデータが多くったりすると、機能面での物足りなさが露呈する場合があります。
これから営業管理を始めるという場合は、まずは簡単に導入できるエクセルからスタートし、将来的にはSFAを導入してさらなる効率化を図るのがおすすめです。