基本ノウハウ
アドネットワークとは、複数の広告媒体を1つにまとめた広告配信ネットワークを形成し、それを通じて広告をまとめて配信できるようにしたシステムのことです。配信できるメディア数が豊富で、広告の一元管理もできるアドネットワークは、今や欠かせない広告配信方法の1つです。しかし、アドネットワークで利用できる広告の種類や活用方法について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Web広告を運用するマーケティング担当者向けに、アドネットワークを徹底解説します。
アドネットワークとは、WebサイトやSNS、ブログといった複数の広告媒体を1つのネットワークに集めて、まとめて広告配信ができるようにしたシステムのことです。アドネットワークを利用すれば、複数のWebサイトやSNSに対して広告を同時配信できるため、非常に便利で多くのメリットがあります。
アドネットワークが出現するまで、マーケティング担当者は運用している広告媒体に対し個別のメッセージを作成し、配信しなければなりませんでした。媒体ごとにシステムや課金方法が異なり、媒体の選定作業や管理も必要なため、広告主や広告代理店にとっては非常に大きな手間とコストがかかる作業だったのです。
広告主は、以下のような悩み・課題を常に抱えていました。
しかし、アドネットワークの出現によって広告主の抱える課題が解決され、大幅な業務効率化が実現したのです。アドネットワークは、今や広告活動に欠かせないオンライン広告配信方法の1つとなっています。
アドネットワークが広告配信を変えたといっても良いでしょう。
アドネットワークの代表的なサービスと特徴を以下の表にまとめました。それぞれの特徴を知って、自社に適切なサービスを選ぶことが重要です。
種類 | 特徴 |
Googleディスプレイネットワーク | 200万以上のWebサイトと65万種類以上のアプリに対応している世界最大規模のアドネットワーク。最低出稿金額などの制限がなく、導入のしやすさもメリット。 |
Yahoo!ディスプレイアドネットワーク | Yahoo!関連サイトのほか、豊富な提携パートナー企業で広告の出稿が可能。ただし、出稿先は法人のWebサイトに限られる。 |
楽天アドネットワーク | 楽天オーディエンスデータをもとに広告出稿できるため、楽天市場と相性の良い広告配信できる点がメリット。 |
i-mobile Ad Network | マルチデバイス計測と呼ばれるスマートフォン・タブレット・PC・モバイルに対応した広告出稿が可能。アプリでのフルスクリーン広告にも対応。 |
impAct | ビジネス系・女性向けといった特定のジャンルに特化した法人媒体で広告配信できるため、狙いのターゲットへ的確に出稿が可能。 |
アドネットワークとDSPの違いは、アドネットワークが多くの広告媒体を束ねているネットワークであるのに対し、DSPは広告媒体を直接持たない管理ツールである、という点です。
DSPは、Demand-Side Platformのことで、複数のアドネットワークを一括で配信・管理できる広告ツールです。さらに、DSPならではの特徴として、入札価格の最適化やクリエイティブ分析といった広告配信の工程を自動化する機能があります。
DSPについて詳しくは「広告を効率化できる「DSP」とは?仕組みやサービス提供企業を紹介」をご覧ください。
ブログやWebサイト内の記事コンテンツのみで限定的に広告が出稿されるサービスであるのに対し、アドネットワークはWebサービス全般で幅広く出稿できます。
アフィリエイトがアドネットワークと違う点は以下の2つです。
アフィリエイトとは、成果報酬型広告と呼ばれるWeb広告手法の1つです。ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)という仲介サービスが、宣伝する側(Webサイト運営者やブロガーなど)と商品を宣伝してもらう側の企業をつなげることで広告活動を行います。
また、成果報酬(広告費)の発生ポイントが異なる点も違いの1つです。アフィリエイトでは、広告で宣伝している商品・サービスが購入された、もしくは申込されたときに広告費が発生する仕組みですが、アドネットワークでは広告が表示された、もしくはクリックされた時点で広告費が発生します。
アドネットワークの具体的な仕組み・流れを紹介します。アドネットワークでは以下の3つが密接に関わり、広告主が入札することでメディアへの広告配信が行われます。
アドネットワークの仕組みは以下のようになっています。
STEP1 | 広告主がアドネットワーク事業者に、広告配信したいメディアの条件・ランディングページのURL・入札金額などを登録。 |
STEP2 | アドネットワーク事業者が、広告主の希望条件にマッチしたメディアへ広告を配信。その際、「アドサーバー」と呼ばれる広告配信専用のサーバーを用いる。 |
STEP3 | ユーザーが、スマートフォンやPCなど、さまざまなデバイスを通して広告と接触。 |
STEP4 | 広告の表示回数・クリック数・コンバージョン率などの数値が測定され、データがリアルタイムで提供される。 |
なお、入札する際の課金形態はクリック課金型とインプレッション課金型の2種類があります。アドネットワークが抱えるメディア数は豊富ですが、シンプルで分かりやすい課金形態により広告配信のハードルを下げています。
そのほか、リターゲティング配信や時間指定配信といった広告効果をさらに高める機能も利用可能です。
アドネットワークを活用することで、以下の3つのメリットが得られます。
従来、広告掲載の依頼は個別にメディアへ行っていたため、広告掲載には人的コストがかかっていました。アドネットワークでは、一度に複数のメディアに同時配信できるだけでなく、1日あたりの広告予算を設定して自動的に調整できるため、コストの最適化が図れます。
広告を閲覧するユーザーのCookieやアカウント情報を利用して、年齢・性別・Webサイトの訪問履歴などのユーザー情報によりターゲティングが可能です。ユーザーデータに基づいて適切なターゲティングを行うため、効率良く広告運用ができます。
例えば、以下のようなユーザー情報によるターゲティングが可能です。
アドネットワークでは、インプレッションやクリック数など以下に挙げるような効果測定データをリアルタイムで確認できます。
マス広告では、可視化できなかった広告の効果を把握でき、PDCAサイクルをスピーディーに回すことに役立てられます。
広告運用においてメリットの多いアドネットワークですが、注意すべきポイントとして以下の2つが挙げられます。
アドネットワークでは、ターゲティングを的確に行うことは可能ですが、出稿媒体は指定できません。そのため、自社のブランディングとかけ離れた媒体で広告配信されてしまうこともあります。
ただし、予期しないWebサイトに広告配信された場合も、ターゲットに対して的確な配信が行われた結果といえます。そのため、広告効果自体が低くなる心配はないと考えて良いでしょう。
アドネットワークにはさまざまな種類があり、各種設定が異なっています。そのため、複数のアドネットワークを利用したい企業は、それぞれの管理が必要です。具体的には、ターゲティングや配信先ジャンルの設定など、1つ1つのアドネットワークの操作に慣れる必要があるため注意しましょう。
本記事では、アドネットワークとはどんな広告方法で、他のサービスとどのように違うかを紹介しました。アドネットワークの仕組みと流れ、注意点を理解すれば、Web広告を効果的に運用することが可能になるでしょう。しかし、近年は改正個人情報保護法の施行(2022年4月)により、リターゲティングが難しくなってきています。これからアドネットワークを利用する方は、自社に適したサービスを選ぶことに加えて、リターゲティングに頼りすぎない広告戦略を組み立てていく必要があります。本記事を参考に適切な方法を検討し、効率的な広告運用を実現してください。