インタビュー

LINE公式アカウントを開設し顧客接点を強化。ブランドの認知ギャップの解消を目指す

LINE公式アカウントを開設し顧客接点を強化。ブランドの認知ギャップの解消を目指す

弥生株式会社は「弥生シリーズ」で知られる 業務ソフトウエアの開発・販売・サポートとともに、中小企業や個人事業主、起業家のための「事業コンシェルジュ」を目指し、支援サービスを展開しています。なかでも、2021年3月末にリリースした起業支援ポータル「起業・開業ナビ」は、副業をきっかけに事業化を目指す人や、法人成りを見据えた個人事業主などをターゲットに、起業時に必要な手続きや情報、サービスを提供しています。

同社は、「弥生シリーズ」のブランド力がある一方で事業コンシェルジュとしてのブランド認知度は低いという課題を抱えていました。そこで、顧客接点強化のためLINE公式アカウントを開設。さらに、効果的にマーケティング戦略を推進するためMAを導入しました。起業・開業ナビのマーケティング施策を行うマーケティング本部営業推進部サービス企画課2課 マネジャーの高城圭右氏と、担当マネジャーの菊池峰生氏に、LINE活用に至った経緯と、ツール導入までの障壁について伺いました。

課題 解決策
顧客接点の強化、マーケティング施策実行のためのリソース拡充 LINE公式アカウントの活用とMA導入・運用支援

目次

新たな顧客接点を増やすためにLINE公式アカウントを開設

画像:高城圭右氏(マーケティング本部 営業推進部サービス企画課2課 マネジャー)
高城圭右氏(マーケティング本部 営業推進部サービス企画課2課 マネジャー)

高城圭右氏(以下、高城氏): 2021年3月31日にサービスの提供を開始した「起業・開業ナビ」【下画像】は、事業支援サービスの一環として、起業家の悩みに寄り添うサポートを行っています。「起業をしたいが、何から準備をしたら良いか分からない」「具体的な資金調達方法や、開業手続きについて知りたい」などの悩みに対して知識やノウハウを提供し、起業を進めていくためのお手伝いをさせていただいています。

▼起業・開業ナビ
https://www.yayoi-kk.co.jp/services/kigyo/

画像:「起業・開業ナビ」by弥生株式会社
画像:「起業・開業ナビ」by弥生株式会社

高城氏: 1980年代から展開してきた業務ソフト「弥生シリーズ」、とりわけ象徴的な製品である「弥生会計」の認知度は非常に高いのですが、会計ソフトのイメージが強すぎるゆえに、他サービスを行っている認知がとれていません。

起業・開業ナビの認知度を高め、サービス利用数を伸ばしていくにあたって、起業予備軍となる「事業者ではない個人」へのアプローチに力を入れる必要がありました。「起業したい」と考えたときに「弥生」を想起してもらうため、BtoCのコミュニケーションに力を入れていこうとなり、新たな顧客接点を強化すべく、LINE公式アカウントの運用に目を付けたのです。

起業予備軍へのリーチ力を高め、CRMに連携させるためにLINEの活用を選択

画像:菊池峰生氏(マーケティング本部 営業推進部サービス企画課2課 担当マネジャー)
菊池峰生氏(マーケティング本部 営業推進部サービス企画課2課 担当マネジャー)

菊池峰生氏(以下、菊池氏):起業予備軍への認知拡大を達成し、最終的に弥生会計の利用につなげるための手段として、LINEを選んだ最大の理由が、「お客さまとの持続的なつながり」です。

「起業を検討している」あるいは「起業の準備をしている」という起業構想期の潜在顧客は40万〜80万人いると想定しています。

その中、限られたリソースで最大限アプローチし、かつ、お客さまのゴールまで寄り添っていける存在となるためには、「お客さまとの持続的なつながり」を作り出すことが効果的と考えました。

画像:LINE施策(お客さまとの持続的なつながり)

(資料提供:弥生株式会社) 

菊池氏:  このような観点から、最も広くターゲット層へリーチする手段として、LINEを活用することを検討し始めました。さらにLINEの可能性として「個別最適化」ができるということにも期待を寄せていました。起業構想期(図参照)と一括りにするなかでも、そのフェーズは多岐にわたり、抱える課題もそれぞれ異なります。起業のアイデアを考え始めた人、具体的な準備を進めている人、すでに会社を立ち上げた人。一人ひとりが「ほしいタイミングに必要な情報を届けることができる」という側面からも、LINEが最も有効だという判断に至りました。

LINEをCRM的に活用することで、顧客の行動や傾向を分析し、最適なアプローチを発見することにより、顧客満足度のアップとお客さまとの持続的なつながりを確保していくのが狙いです。

「導入後の伴走支援」が決め手。サポート体制を重視してMAを選定

菊池氏:当時は高城と私の実質2人で、マーケティング領域を担当していたため、運用の内製化に向けた社内体制の整備も課題の1つに挙がっていました。そうした事情から、ツールの導入に加え、運用面で外部にサポートを依頼する必要がありました。

「早期に成果を出すためにも、外部パートナーとともにPDCAサイクルを構築したい」という考えのもと、LINEのMAを提供している5社に話を聞いています。検討の結果、戦略から業務支援までトータルに運用をサポートしてくれるMicoworksさんの「MicoCloud」に依頼しました。理由としては、私たちが求めていた運用支援力に魅力を感じての決定です。

やはり、LINE上のナーチャリングで成果を出すためには、配信シナリオのクオリティがとても重要で、効率的にPDCAサイクルを回し続ける必要があります。そのために、豊富な運用実績やノウハウを持つパートナーが最適と考えました。

画像:MicoCloudを提供するMicoworksの支援」

「MicoCloud」を提供するMicoworksの支援 

「スピード感のある変化」をアピールし、社内での承認を得る

菊池氏:私たち運用メンバーで「MicoCloudを導入したい」と気持ちを固めたものの、社内で決裁を取るためのハードルがありました。比較していたツールの中で「運用コストが比較的高い」ということも大きな障壁でしたが、「外部からのサポートの必要性」という点で納得を得なければいけませんでした。

そこでMicoworksさまの資料【下画像】を元に、我々が実現したい目標に対して不足している人的リソースをMicoworksさまの運用支援により補ってくれる点を提示。もともと、マーケティングにおける十分な体制が築けていないということは理解してもらえていたため、無事に承認を得ることができました。

画像:スライド資料「【選考ポイント①】運用支援の必要性」資料提供:Micoworks株式会社
(資料提供:Micoworks株式会社)
画像:スライド資料「運用支援比較(LINE拡張サービス3社)」資料提供:Micoworks株式会社
(Micoworks株式会社提供の資料を一部BeMARKE編集部が加工) 

LINEをプラットフォームとして活用し、事業への活用につなげる

菊池氏:現在はツールを導入したばかりなので、データを蓄積しているところです。数カ月間で集計した数字から分析を行い、CVRの改善へとつなげていきたいと考えています。やはり「友だちの登録数」を増やすことが重要なポイント。広告などの運用も行いながら、LINEに誘導する導線を確立していきたいです。

また、LINEに登録いただいたユーザーに向けて、起業支援コンテンツの情報を提供し、ユーザーごとの悩みに合わせたメッセージが届けられるよう、コミュニケーション設計の構築に力を入れていきたいと思っています。

今、多くの企業で「統合ID」が課題として挙げられています。複数のサービスに登録している顧客情報が異なることで、統合するために膨大な労力がかかってしまうからです。この悩みに答えてくれるのも、LINEだと考えています。LINEではLINE顧客情報を自社の顧客情報へ引き継ぐことが可能なため、LINEで得た顧客情報を、弥生のデータベースにも組み込むことが可能となります。LINEに登録したユーザーと、コンバージョンしたユーザーが紐づけられることで、長くLINE上で顧客とコミュニケーションを取れる体制が築けるはずです。プラットフォームとしてのLINEのポテンシャルをさらに引き出し、事業に活用していきたいですね。

「事業コンシェルジュの弥生」として起業家に寄り添うために

高城氏:現在の日本の開業率は海外と比べて低いものの、国の経済政策としても「起業家を増やしていきたい」という意向が強くあります。弥生では、起業を目指す方に向けて、「失敗を恐れずに起業できる環境づくり」を支援していきます。

そのためにも、起業・開業ナビを「起業を考えている人が一番に利用したい」と想起するサービスへと育て、適切なコミュニケーションを通じて、起業、開業フェーズにおける困りごとの解決をかなえていきたいと考えています。

今後も「事業コンシェルジュの弥生」として、起業家に寄り添い続け、ブラッシュアップを続けてまいります。
※情報は2023年2月8日取材時点

弥生株式会社の課題解決策:LINE公式アカウントの活用とMA導入・運用支援(提供・Micoworks株式会社)

戦略を共に描いていくパートナーとしてご支援

Micoworksでは、『MicoCloud』を活用したマーケティング戦略立案から施策実行、改善に至る支援を行っています。弥生さまの場合は、幅広い層に対するビジネスを展開されているため、LINEという媒体で優先的にアプローチすべき対象を一緒に整理し、シナリオを構築してまいりました。弥生さまが目指す『事業コンシェルジュ」としての価値を起業家の方々に届けるため、今後も戦略を共に描いていくパートナーとして伴走してまいります」(Micoworks株式会社)。

▼Micoworks株式会社
LINE公式アカウント活用ツール「MicoCloud」:https://www.mico-cloud.jp/

まとめ

  • 「事業コンシェルジュ」としてのイメージを浸透させるため、ターゲット層に効果的にリーチする手段として、LINE公式アカウントを開設
  • LINEをCRM的に活用することで、お客さまとの持続的なつながり
  • マーケ部署内の人的リソースを補うため、サポート体制が充実しているツールを選択
  • LINEに誘導するための導線を確立し、最適なコミュニケーション設計の構築を目指す
  • LINEのID連携により、社内データベースを汎用的に活用する

【取材・執筆:佐藤有香、株式会社YOSCA、編集:BeMARKE編集部】


この記事を書いた人

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