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QCDとは?基礎から優先順位のポイントまで3分で解説!

QCDとは?基礎から優先順位のポイントまで3分で解説!

QCDは「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Deliverly(納期)」の頭文字を取った言葉で、製造業の生産プロセスにおいて非常に重要な要素です。これらは相互に影響を及ぼし合って、企業の生産性や利益を大きく左右します。市場競争の中で製造業が生き残るために不可欠な要素の1つです。この記事では、QCDの基本的な知識と、製造業がQCDを考慮すべき理由、QCD改善において優先すべきポイントについて解説します。

目次

1.QCDとは?

QCDとは、英語の「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」の頭文字を取った言葉で、生産プロセスにおいて重要とされる3つの要素を表しています。

Quality(品質)とは

Quality(品質)の定義は、使用する人や使用される場面によってさまざまです。生産プロセスにおける品質は、製品自体の品質を指します。生産プロセスにおいて、顧客視点でもっとも重視される要素が製品の品質です。コストをできる限り削減し、納期に間に合うように生産したとしても、製品の品質が担保されていなければ顧客の満足を得ることはできません。したがって、品質はQCDにおいて最も重要な要素となります。

Cost(コスト)とは

生産プロセスにおけるCost(コスト)は、製品の価格ではなく、生産に要する諸費用や時間を指します。品質は高ければ高いに越したことはありませんが、大抵の場合、品質を向上させようとするとコストがかかります。かといって、コストを削減しようとすると品質の担保が難しくなる場合もあるでしょう。会社の利益とてんびんにかけて、適切な状態を見極める必要がある要素です。

Delivery(納期)とは

一般的に、Delivery(納期)は製品をお客様に納める期日を指します。生産プロセスにおける納期は、生産ラインにおいて製品が完成するまでの期間です。具体的には、原材料の調達から製造を経て発送するまでのリードタイムまでを含んだものです。

生産においては、あらかじめ提示した納期を遵守する必要があります。また、万一の納期遅延に備えて納期には十分な余裕を持たせておくことも大切です。遅れることなく、有事の際にも対応できるバッファまで含めて設定する必要のある要素です。

2.QCDを考慮すべき2つの理由

ここからは、生産プロセスにおいてQCDを考慮すべき2つの理由について解説します。なお、QCDは独立した要素を3つ並べたわけではなく、常に関連しながら相互に影響を及ぼし合っています。具体的には、以下のような例が挙げられます。

  • 納期を早めようとすると、コストがかかる
  • 納期遅延が起きてしまうと、リカバリーのためのコストもかかる
  • 品質を高めようとすると、工数やコストが増える
  • 品質が悪いと、作業の手戻りややり直しが発生し、納期の遅れが発生する
  • コストが高すぎると、利益が出ずに品質向上に費用をかけられない
  • かけるコストを削減すると、品質低下のリスクを招く

生産プロセスではQCDがどれも重要であるものの、これらを個別に考えるのではなく、QCD全体として考慮する必要があるといえます。

商品やサービスの品質・利益向上につながる

QCDを考慮すべき理由の1つは、QCDの改善によって商品やサービスの品質が上がり、利益向上につながるためです。QCDで目指すべきは、できる限りコストをかけず、短期間で、高品質の商品を製造できる状態です。コストを抑えられれば利益率が高まります。納期が短くなれば、より多くの商品を市場に出せます。またこれらの取り組みにより企業の経営状態が良くなることで、商品開発能力を上げてさらに高品質の商品を製造できるようになります。

逆に、予算を大幅にオーバーして品質を高めようと思っても利益を上げにくいため、結果としてQCDを改善できず、経営が立ち行かなくなることは明白でしょう。3つの要素は互いに影響を及ぼし合い、トレードオフの関係になっていることから、品質、コスト、納期のバランスを取りながら上手に改善していく取り組みが求められます。

納品までのプロセスを最適化できる

生産プロセスにおいてQCDを考慮し改善を図ることで、納品までのプロセスを最適化できます。例えば、「Quality(品質)」を改善するために原材料を見直す、「Cost(コスト)」を改善するために作業の標準化を行う、「Delivery(納期)を改善するために作業機械を導入するなどです。これらの見直しによってQCDが改善された場合、結果として生産プロセスそのものも改善され、最適化されることにつながります。

3.QCDの優先順位を考えるときのポイント

QCDは相互に影響を及ぼし合う要素のため、どの順番で改善するか迷うかもしれません。QCDを改善するにあたって優先して取り組むべき順位について解説します。

基本的には「Quality(品質)」を優先する

一般的に、最も優先して改善に取り組むべき要素は「Quality(品質)」です。顧客第一の視点で考えたときに、品質が最も影響を及ぼす要素だからです。いくら納期が早くても品質が担保されていない商品に、顧客は満足しません。しかし、品質を考慮しすぎると製造コストも上がり、たとえ売上が一時的にアップしたとしても、そこから利益を出すことは非常に難しくなります。また、納品を急ぎすぎるあまりに納期を短くしてしまうと、今度は品質が低下するリスクが高まります。QCDのバランスをうまくとりながら、まずは品質を最優先に改善を行うようにしてください。

「Cost(コスト)」と「Delivery(納期)」は状況に応じて優先する

品質の次に取り組むべき要素は、顧客第一であることを考慮すると「Delivery(納期)」となります。品質が良く、納期の短い商品はさらなる顧客満足につながりやすいためです。ただし、状況に応じて「Cost(コスト)」が優先される場合もあります。‪例えば、利益率を圧迫するほどコストが高く生産効率を上げられない場合は、経営が立ち行かなくなる可能性があります。また、納期よりもコストを改善しやすい状況であれば、無理をして納期を改善するより、すぐに結果の出るコスト改善に取り組んだ方が効率的です。自社の状況に応じて、コストと納期のどちらを優先するかを見極めましょう。

現場の意見も取り入れる

QCDを改善しなければならないという意識が強すぎて、品質の追求や納期短縮、コスト削減を必要以上に行いすぎると、現場に大きな負担がかかることとなります。現場への過度な負担は生産性の低下を招くリスクがあることから、現場の意見を取り入れつつ無理のない改善施策を打つことが重要です。

また、作業員の精度や能率を向上させたり、現場の労働環境を良好にしたりすることでも、QCDの改善が期待できることもあります。本部だけで判断するのではなく、現場を交えて現実的な検討を行いましょう。

4.QCDS・QCDE・QCDFとは?

昨今ではQCDの考え方をベースに、その概念を発展させたものとして「QCDS」や「QCDE」、「QCDF」といったものが出てきています。これらは製造業以外でもしばしば用いられるようになってきているため、参考としてご紹介します。

QCDS

QCDSは、QCDに加えて「Service(顧客対応)」の要素を網羅したものです。QCDSは製品評価において用いられる指標の1つであり、顧客へのサービスやサポートが充実した企業は、一定の製品評価を得られていることになります。

また、QCDSのSを「Safety(安全)」とすることもあります。建設施工業界などで使われており、建築においては安全であることがもっとも重要であるという考えに基づいています。

QCDE

QCDEは、QCDに「Environment(環境)」を加えたものです。SDGs(持続可能な開発目標)が推進される昨今では、「Environment(環境)」への負荷を最小限とする生産プロセスも重要視されるようになってきています。

QCDF

QCDFは、QCDに加え「Flexibility(柔軟性)」の頭文字を取っています。「Flexibility(柔軟性)」は顧客への対応力を表し、柔軟に対応できる生産プロセスを評価する指標として使用されています。

5.まとめ

製品の安全性や環境負荷の軽減が以前より重視されるようになった昨今、QCDの改善を図ることは、時代のニーズに応えるために不可欠の考え方であるといえます。近年はグローバル化やIT技術の進歩により市場競争が激化しており、自社が競争力を高めて生き残っていくために、QCDは極めて重要な要素です。また、顧客視点での経営は、顧客満足度を高め、顧客に選ばれ続けることにもつながります。生産プロセスを最適化する必要があると考えている製造業の方は、まずは自社のQCDの状態について考えてみてください。


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BeMARKE編集部
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