インタビュー

「入力内容の濃さ」よりも「登録数」を増やすことが重要。「立ち上げ期」と「運用期」の2ステップで支援を展開【ホットプロファイル】

「入力内容の濃さ」よりも「登録数」を増やすことが重要。「立ち上げ期」と「運用期」の2ステップで支援を展開【ホットプロファイル】

ソフトウエアの開発、運用を行う株式会社ハンモックは、2014年にSFA/MAツール「ホットプロファイル」をローンチ。名刺管理と営業支援、新規開拓の機能が一つのツール内で連携できることを強みにした営業支援サービスを展開しています。

ツール導入を検討する企業担当者の不安要素として多く挙げられるのが、「スムーズに定着できるかどうか」。これに対して、カスタマーサクセス部オンボーディング支援課課長の樋野貴博さんは、「管理者に導入の理由やゴールをしっかりと理解してもらうことが定着の鍵」と話します。どのようなサポート体制で、定着までの支援を行っているのかをお聞きしました。

目次

「管理者の納得感」が定着には不可欠。導入前の説明にも注力

自社で抱えていた課題を解消するため、業務の効率化を叶えるツールを開発

複数の機能を兼ね備えた「ホットプロファイル」の開発は、当社で感じていた課題がきっかけとなりました。当時、「営業支援」と「新規開拓」のそれぞれの領域で対策を立て、取り組んでいました。しかし、「もっと効率を良くしたい」という思いから、名刺管理ツールの開発からスタートさせています。

これは顧客情報を作成し、スムーズにリード獲得に行き着くためには、「名刺から情報を集めるのが最適」と判断したからです。さらに新規開拓と営業支援の機能を紐付けて、サービスを展開していくことになりました。

「なぜ失敗したのか」の深掘りが大切。他社の失敗事例を導入前に説明

導入を検討しているお客様の多くが、「定着しないこと」への懸念を抱いています。特にこれまでにツールを導入した経験のあるお客様は「定着せずに尻すぼみになってしまった」とか「エクセルでのデータ管理に戻ってしまった」など、軌道にのらなかったことが不安となり、リプレイスにも慎重になっています。

私たちカスタマーサクセスのメンバーは、導入前のミーティングで「同業種の失敗例」に加えて、「なぜ失敗したのか」の理由についても深掘りしてお伝えするよう心がけています。

例えば、現場営業が入力することを「面倒くさい」ととらえ、入力件数が増えなかったという事例。その要因を探っていくと「ツールの入力項目が多かったこと」や「入力方法が分かりにくかったこと」が挙げられました。

「こうすると失敗する」という事例と、「なぜならば」の理由を明確に説明することで、成功するための意識の醸成につなげていきます。

また、「管理者の納得感」も定着までの道のりに不可欠な要素です。なぜツールを導入するのか、何を目指しているのかが曖昧なまま進めてしまった場合、営業担当者からの「なぜ急に変える必要があるのか?」という疑問に対して管理者の方がしっかりと説明することができません。ユーザーとなる営業担当者に納得して使っていただくためにも、管理者や決裁者など、上層部のツールへの理解は大切です。

そのために、初回のキックオフミーティングでは、管理者や決裁者に対して納得を得られるまでご説明させていただいています。

キックオフミーティング後は、管理者様向けと、営業担当者様(ご利用者様)向けの説明会も開催しています。「導入前の納得感」……これが定着の鍵ととらえ、時には「キーマンになる方をアサインしてほしい」など、体制についてのアドバイスすることもあります。

蓄積したデータを活用できるようになることが「定着」の定義

樋野貴博さん(株式会社ハンモック・GLUE事業部 カスタマーサクセス部 オンボーディング支援課 課長)

私たちが考える「定着」の定義は、蓄積したデータを活用できるようになること。そのための最初のステップとして、まずは3カ月で名刺のデータ登録を習慣化していただきます。データの入力が業務の一環として位置付けられた後、半年を目安に、蓄積したデータをアウトプットできることを目指します。その間、月に2回程度の接点を設け、オンボーディング支援のサポートメンバーが伴走します。

入力内容の「濃さ」ではなく、「データ登録件数」を増やすことが重要

私たちのツールは「名刺管理」が入り口になるサービスです。名刺データの蓄積が、その後のアウトプットへつながります。これを実現するため、立ち上げ期では入力内容の濃さではなく、「データ登録件数を増やすこと」に重きを置いてサポートしています。

入力内容の濃さを求めてしまうと、入力する際に考え込み、結果「後回し」になってしまいがちです。それを避けるため、ストレスなく入力できる項目数から始めていただき、まずは「企業訪問したら登録する」「名刺をもらったらデータ化する」という業務サイクルの習慣化を目指すよう促します。

「ホットプロファイル」の初期設定は、「5項目」からのスタートです。およそ1〜2分で入力完了でき、営業担当者の「面倒くさい」という思いを感じさせないよう、システムを設計しています。

プルダウンでの選択で、ストレスなくデータ登録ができる

また、「自分たちの登録したデータはどのように使われているのか」が見えない状態だと、営業担当のモチベーションも下がってしまいます。これを避けるため、「データの見える化」をシステムに組み込んでいます。データ登録数が増え、それが可視化できると営業担当のツール慣れも進みます。入力が業務の一環となって習慣化できれば、項目数を増やしても離脱の可能性は低く、ゴールへの活用推進へとつながっていくはずです。

サポートメンバーは、担当企業の利用状況を定期的にチェックし、もし入力数が下降してきた場合、運用上の問題なのか、時期によるものなのかを管理者にヒアリングして、対策を立てて改善へと導きます。

オンボーディング達成後は、運用支援チームがサポートを担当

当社では「オンボーディングまで」と「オンボーディング後」に分けてサポート体制を整えています。

名刺のデータ登録と、活動の見える化が達成した後は、ツールの運用を加速させ、継続することを支える「運用支援チーム」に引き継ぎます。運用支援チームでは、データのアウトプットによる見える化や新規案件発掘のためのアドバイスをさせていただきます。

具体的には、BIを連携したレポーティング支援やメール配信、Webトラッキングを利用した新たな顧客の発掘、既存顧客の動向見える化など。これらの運用提案と、お客様に適した運用ステップをご提案することで、事業の成長を支援します。

また、ツール導入直後の立ち上げ期はモチベーションが高く維持できますが、半年が経過すると利用率が下がる傾向も見えてくるため、運用支援チームでは、その利用率の下降をキャッチアップし、対策を講じています。

企業にとって「なくてはならない存在」を目指して

私たちが目指すのは「導入いただいたツールが、なくてはならない存在となること」。データは会社の財産となり、活動の見える化、リアルタイムな上長報告、営業の属人化対策、KPI分析、関連部署へのアクションなど、さまざまなメリットが生まれます。

これらのメリットが、「ホットプロファイル」の導入によって体感し、ツール導入の価値を実感していただくため、カスタマーサクセスメンバーによる支援に力を尽くしていきます。

現在のカスタマーサクセスチームは15名です。オンボーディング支援、運用支援に加え、メールサポートや電話サポートなどのインバウンドを支えるチームが存在しており、チームそれぞれに教育のためのコンテンツを用意。バージョンアップやサービスが変わるタイミングで教育計画を立て、定期的な勉強会を継続し、お客様支援のためのスキルアップを目指していきます。

利用者の声をシステムに反映。機能強化を継続しながら使い勝手を追求

「ホットプロファイル」では、3カ月ごとにシステムのバージョンアップを行っています。その際、企業データベースの刷新やデータ精度の向上、会議ツールとの連携強化など、お客様から寄せられたリクエストを反映することで、より良い使い勝手を追求しています。

最近では、リモートワークが一般化されたこともあり、「オンラインでの名刺交換を行いたい」や「リモート作業でできる機能を追加したい」という要望も増えてきました。なかでも「フィールド営業以外でも活用したい」という声が急増している印象です。このようなリクエストはツールが企業に定着しているという証しでもあります。当社では、お客様からの声をチャンスととらえ、今後も機能強化に務めていきたいと考えています。

※情報は2022年9月12日取材時点

まとめ

  • 入力項目を最小限に抑えるなど、入力の手間を省きデータの蓄積を促す
  • キックオフミーティングでは、管理者や決裁者の「納得感」が得られるまで、カスタマーサクセスのメンバーから説明を行う
  • 3カ月で名刺のデータ登録を習慣づけ、半年でデータの活用を実現できるようにサポートを行う
  • 「立ち上げ期」と「運用期」で支援体制を分け、それぞれの期間に適したアドバイスを行う
  • 顧客の要望をシステムのバージョンアップに反映し、定期的に機能強化を行っている

BeMARKE編集部の注目ポイント

徹底して顧客の課題解決に寄り添おうと開発されたSFA/MAで、サービスの開発背景やカスタマーサクセスの導入前ミーティングなどからもその姿勢を強く感じられます。
名刺管理という特性を生かし、データの登録件数をいかに増やせるかに重きを置くことで、定着に関して従来のSFA/CRMやMAで課題を感じていた企業や初めてSFAを導入する企業にとってもツール利用を推進させる手助けとなることが期待できます。オンボーディング達成後も、BIを連携したレポーティング支援やメール配信、既存顧客の動向見える化などの運用提案、さらには利用率の状況によって対策を講じる伴走型の手厚いサポートもあり、ユーザーの事業の成長を見据えた支援も心強いです。

【取材・執筆:佐藤有香、株式会社YOSCA、編集:BeMARKE編集部】

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BeMARKE編集部
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