インタビュー

専門家に聞く「営業日報って本当に必要?」営業日報の新しい価値とは

専門家に聞く「営業日報って本当に必要?」営業日報の新しい価値とは

コロナ禍によってテレワークが進み、部下と上司が対面コミュニケーションを取ることが難しくなりました。なかでも大きな問題になっているのが、営業部門に求められる「問題解決力」と「チームワーク」の低下。そこで今、改めてその価値が見直されているのが「営業日報」です。

営業日報を営業部門の課題解決に生かす方法や、営業日報の活用で起こりがちな問題の解決方法について、日報アプリ「gamba!」を提供する株式会社gambaの縄亮太郎氏に話をうかがいました。

目次

営業日報が必要な企業とは

画像:株式会社gambaの縄亮太郎氏
縄亮太郎氏(株式会社gamba)

コロナ禍以前、営業日報は営業担当者の行動を管理するために活用されていました。営業部で限定的に活用されていたのです。しかし、コロナ禍によって対面のコミュニケーションが取りづらくなってからは、営業部に留まらず全社のコミュニケーションツールとして活用されるケースが増えました。

テレワークが普及し、文字ベースでのコミュニケーションに移行するにつれて「社員間のコミュニケーションツールとして営業日報を導入したい」という要望が増えています。なかでも営業日報の活用に適している企業は、大きく3パターンあります。

(1)チーム全体の協力体制を強化したい企業

チャットソフトは必要な時に必要な情報だけ求めますが、営業日報は定期的に報告を求めるためコミュニケーションに持続性があり、管理者と部下同士の結びつきをより強められます。現場の状況を把握し合って、適宜必要なフォローを入れることで、チーム全体の一体感を高めるのに効果的です。

(2)振り返りの習慣をつけ、部下の成長を促したい企業

営業日報により、部下は1日ごとに業務を振り返る機会が生まれ、翌日以降につながる気付きを与え、改善を促すきっかけになります。PDCAサイクルを回すことで、主体的に成長する環境を構築できるでしょう。成功プロセスを共有し、情報を蓄積する場としても活用できます。

(3)コミュニケーション不足を解消したい企業

従業員が多くなると、個々の社員が何をしているのかを把握しにくくなり、管理が難しくなります。営業日報でこれまで会話で補ってきた情報を補填することで、管理がしやすくなるうえに、テレワーク下でのコミュニケーションも補えます。

営業日報が必要ない企業とは

一方で、営業日報のメリットがあまりない企業もあります。こちらも3パターンご紹介します。

(1)営業が完全に自立自走している企業

営業日報は記入に10~15分程度がかかり社員に負担を強いるため、社員それぞれが完全自律で動く企業にとってはあまり有用ではありません。同様に、自分自身で解決する力がすでに備わっている社員が大勢いる企業は、営業日報が定着しない可能性が高いです。

(2)導入目的が「管理」のみの企業

営業の管理だけを目的としている企業は、営業日報以外の別手段を取る方が良い場合もあります。管理だけならGPS付きの報告ツールなどもあるので、コストによってはそちらを代用する手もあるでしょう。

(3)完全競争型の企業

営業1人ひとりを競わせる完全競争型の企業は、各々が属人化した情報で成績をあげるため、会社への帰属意識よりも競争心が高い場合が多く、情報共有の場を作ってもナレッジの共有などはあまりされないようです。

営業日報を活用している企業が得ている3大メリット

メリット1:気付きの獲得

1日の終わりに営業日報を書くことは、強制的に振り返りの時間を取る形になり、日々の気付きを得られます。さらにその気付きを、営業日報を通じて共有することで、ひとりが得た気付きを社内全体の気付きに発展させられます。たとえば、営業日報に店舗の商品配置画像を入れて共有し、他の店舗の商品配置に生かした事例もあります。

このように、今までは属人化して周知されなかった情報が、営業日報で可視化されることで「見落とされがちな小さなプラス」をすぐに共有でき、塵が積もるように大きな成果につながるのがメリットです。

メリット2:離職率の低下

ある人材派遣企業は、営業日報としてgamba!を導入してから新卒の離職率が大幅に低下しました。全国30拠点以上に営業日報が共有されるようになり、営業日報を見た社員からフィードバックとなるコメントがもらえるようになったからです。

コロナ禍の入社で孤独感を覚えやすい新卒にとって、全体共有できる営業日報は重要なコミュニケーションツールになり、大きな支えとなりました。心理的安全性が生まれ、離職率低下にもつながったようです。

メリット3:部門間の壁を解消

営業は基本的に外回りが多く、他部署に業務報告する機会があまりありません。「何をしているか」が不透明になるため、事務が不信感を募らせるケースがよく見受けられます。

営業日報で仕事内容を細かく共有することにより、他部署の従業員も「こんなに仕事を頑張っているんだ」と理解が深まり、社内の雰囲気が改善された事例があります。見えなかった情報を見える化することで、部門間の壁を壊し、企業の一体感を高められます。

営業日報を習慣化するコツは「トップダウン方式」

画像:株式会社gambaの縄亮太郎氏

営業日報を書くことで自然とPDCAを回せるようになり、個々人の主体的な成長を促せますが、最大の課題は習慣化です。

習慣化できない理由は「営業日報が何の役に立っているかが分からないから」で、管理者がフィードバックをして意義を伝える必要があります。ただ、管理者がフィードバックする時間がないケースが多いため、簡単にフィードバックできる環境作りから始めるべきでしょう。

おすすめなのは、肯定的な一言フィードバックです。営業日報の習慣化に悩んでいる企業がgamba!を導入し、社長自らが全30名に毎日「お疲れ様です、いいね」と一言フィードバックすることで、営業日報が定着した事例があります。

また、社長や上司自らが毎日営業日報を記入するのも効果的です。上司が見本を示すことで、部下も「自分だけが負担を強いられている」という不満を感じることなく記入するようになります。

営業日報を始めるべき2つのタイミング

営業日報は基本的にメリットが大きいツールなので、どのタイミングで初めても問題ありませんが「すぐにでもやったほうがいい」と思われるタイミングは2つあります。

(1)従業員数が増えて管理が難しくなった時

企業規模が大きくなり従業員数が急激に増えると、ひとり一人までに目が行き届かなくなるため、離職率が上がりやすくなります。営業日報は「気付きの獲得」「振り返りによる成長」を促すため離職リスクを回避するのに有用で、早急に導入することをおすすめします。実際に、従業員が増えて30名以上の規模になった企業が営業日報を導入するケースが多く見られます。

(2)テレワークでの情報共有を課題に感じた時

テレワークでコミュニケーションが減り、情報共有がしにくくなった企業にも営業日報の導入をおすすめします。本来はオフィスでの雑談で業務内容のみならず心境や人物像まで把握するものですが、テレワークにより部下の表情など些細な変化が見えなくなり、部下が何を考えているか分からなくなった管理職の方は多いでしょう。

営業日報に普段の何気ない気付きや心境などを記入してもらうことが、チャットでは補えない変化を読み取るきっかけになります。チャットは会話形式で返答を求める傾向が強いですが、営業日報は必ずしもすべてのコメントにフィードバックを強要するものではなく、一方的に書ける気軽さがあります。

営業日報は新たなコミュニケーションツールになる

豊富にサービスが存在する昨今、営業に求められる力は「問題解決力」と「チームワーク」だと考えています。これまでは部下と上司が同じオフィスにいたため、対面コミュニケーションを通して能力を養ってきましたが、コロナ後はそれが難しくなりました。

営業日報は対面に近いコミュニケーションを実現し、部門間の壁を乗り越えチーム力を高めるため、「問題解決力」と「チームワーク」を養うのに最適なツールです。日報アプリ「gamba!」の場合も、営業日報をメンバー全体で共有しあいコメントができる「営業日報×SNS」の仕組みを取り入れて、より大きなメリットを享受しやすい形式にアップデートしました。

コロナ禍をきっかけに、営業日報はコミュニケーション不足を補うツールとして価値が見直されています。改めてその価値を理解するとともに、必要な企業や組織に届いてほしいと願っています。

※記載の内容は2023年2月時点の情報です。

まとめ

  • 営業日報で日々の業務を振り返り、気付きを促すことで成長を促せる。
  • 共有することで、個人の気付きを全社の気付きへと最大化できる。
  • 営業日報は部署ごとの意思疎通を密にするだけでなく、離職率の低下にもつながる。
  • 毎日記入してもらうためには、簡単にフィードバックできる環境づくりと、上司自身も毎日書くことが有効。
  • 営業日報により、テレワークによって失われたコミュニケーションを取り戻せる

【取材・執筆:小林良介、株式会社YOSCA、編集:BeMARKE編集部】

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